2016-11-01から1ヶ月間の記事一覧

世田谷パブリックシアター+KERA・MAP#007 『キネマと恋人』

『カイロの紫のバラ』。現実逃避の果ての、ビタースウィートな映画。それをケラが舞台化、トラムでかける。ゼップでボブ・ディランを見るような、ブルーノートでノラ・ジョーンズを見るような贅沢だ。 スクリーン。真ん中に一つ、上手と下手にも小さなスクリ…

Zepp ブルーシアター六本木 『あずみ  戦国編 』

「そば焼き作ってきて。」と女中に頼んでのん気にしてたら、お城の台所の方が火事。思えばそれが落城の日だったのです。という大坂城落城ドキュメントを読んだばかり。今日の『あずみ』はそんな話じゃない、もっと鋭く厳しい。 戦国時代、孤児となった子供た…

てがみ座第13回公演 『燦々』

葛飾応為。画師。北斎の娘。本名お栄だが、父親から「アゴ」って呼ばれてた。小さな人形を作るのが上手で、これがよく売れた。画師に嫁いだが、夫の画のまずさを笑っちゃって、離縁。代表作は『吉原格子先之図』、『夜桜美人図』など、光と影を巧みに描き分…

世田谷パブリックシアター 『遠野物語・奇ッ怪其ノ参』

地勢。たとえば、「明日から刀はなしだってさ」と海辺の町から平野を順繰りに、人々が腹立ちながら後ろの人を振り返り、奥へ奥へと申し送りする。と、不意に険しい山が現れて、もう次に伝える人が誰もいない。憤懣は山に当たって跳ね返り、高まり、とうとう…

ビルボード東京 ヤエル・ナイム

billboardと、ステージ正面に大きく吊り看板が出ていて、見るともなく眺めていると、活字の丸く囲われたところにみな色がついている。最初のbは紫、次のbの丸は赤、oはオレンジ、aは青、dはピンク。 舞台下手にピアノ、ピアノの前にギターが立てかけてあり、…

劇団チョコレートケーキ 第27回公演 『治天ノ君』

万世橋にあった交通博物館で、「お召列車」というのを見たことがある。木のベンチが据えられた殺風景な三等車両が、「こんなもんでいいや」という投げたような質実さだったのも悲しかったが、お召列車の総絹張りや装飾の漆塗りや金細工は、「かならずこんな…

恵比寿ガーデンホール 『Live Magic 2016』

あたり!マスターカードの福引で当たりが出て、ガーデンホールの二階からライヴが観られることになった。マッサージも10分サービスだし、ジュースも無料だ。やったー。くじ運の強さに大喜びしていると、次にあたった女の人が説明を一通り聞いた後、「ほかに…

新国立劇場小劇場 『フリック』

映画館の思い出。満員の映画館で、通路側が一席、ぽかんとあいている。急いで近寄って、「空いてますか?」と尋ねたら、スーツにメガネを光らせた小太りの青年が、「ここは来るんです!」と思いのほか激しい口調で答えた。ふーん。そうなの。私は通路に座っ…