2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

恵比寿ガーデンホール 『Live Magic』

長く延べられた二本のバーに、いくつものコーヒードリッパーがかけ渡されている。その上にうつむいて熱湯をゆっくりそそぐスタッフは黒いTシャツを着て、合間に手早く紙コップを客に差し出す。 Tシャツは皆おそろいで、Live Magic と書いてある。今日はLi…

東京芸術劇場×明洞芸術劇場 『半神』

お姉さんのつっまびく、しゃみせんにー。こまどり姉妹が流れて、ザ・ピーナッツが流れる。合間を、k pop がつないでいく。ここは東京池袋。舞台にはDNAを模したという、螺旋階段とその階段を抱きかかえるように伸びる二本の突端。トレーニングウェアの役者が…

青山円劇カウンシルアンコール 『生きてるものはいないのか』

主役っぽいから死なないとか無し。死は平等に、軽々と登場人物に訪れる。 終演後パンフレットを広げて「ミキ(川口春奈)病気の子」だの、「ショージ(中嶋歩)アイドル業の傍ら大学へ」だの、書き込んで頭の整理をした。でもみんな死んじゃうのだ。出てくる…

竹内まりや  『 TRAD 』

涙など見せない強気なあなたを そんなに悲しませた人は誰なの 教室を忙しく飛び交うカセットテープ。なつかしいね。定番の失恋プレゼントだった。 あれからずいぶん経った。久しぶりに竹内まりやを聴く。すこし緊張。だってわたしもう鎧とかヘッドギアとかで…

ペンギンプルペイルパイルズ 第十八回公演 『靴』

古い病院の廊下には、たいてい色とりどりのテープで矢印がしてあって、「レントゲン室」だの「検査室」だの「外科」だのという目的地にたどり着けるようになっている。 真知(金澤美穂)と理々子(愛名ミラ)の二人の高校生は、その矢印が平行に(あるいはぐ…

演劇集団円 女流劇作家書下ろしシリーズその2 『朽ちるまにまに』

20才若返ったらどうしよっかなー。 「..................。」 頭が白紙。えーと映画行ったり、お芝居観たり、洋服買ったりお茶したり。じゃあ今となんら変わらん。 この芝居の登場人物たちの場合は微妙。70歳のはずなのに、南米奥地か…

池袋芸術劇場 『小指の思い出』

目の前に、透ける砂漠が広がっている。膚色の薄布で覆われた車、薄布で覆われた自転車、薄布で覆われたハンマーのようなもの。舞台の両袖は完全にオープンにされ、殺風景だ。この舞台袖をみたとき、何だかこの舞台自体が意志あるもので、これはその「決意」…

二兎社公演 『鷗外の怪談』

しげ(水崎綾女)が、帯の間から何やら取り出して服用する。(これが清心丹かー。)と感動が胸に来た。観潮楼の二階。廻り縁、洋書の本棚、来客用円卓。焼けてしまって今はないその家が、目の前にある。そこも感動。鷗外(金田明夫)は軍医総監、妻しげは三…

シアタートラム 『アンサンディ 炎』

(遠くから近づいてくる炎を、身じろぎもせずじっと見ている。まばたきしない。火の粉が飛ぶ。煙がしみる。でも動けない。睫毛が焦げる。火が熱く、痛い。) ナワル(麻実れい)は内戦を逃れて、中東からカナダに移住してきた。彼女の死後、双子のこどもたち…