2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

新宿シアタートップス オフィス3〇〇公演 『ぼくらが非情の大河をくだる時 ~新宿薔薇戦争~』

ひとつの棺、3人の男。男たちは棺を奪い合い、押し付け合う。3人で「ひとりの男」としてえがかれる局面があり、切り替わって(スウィッチング!)「世代の違う3人の男」としてえがかれる局面があり、そして「家族の男たち」であり、つまりは「男」なのだ。こ…

明治座 『羽世保スウィングボーイズ』

作・演出:G2 美術:伊藤雅子 照明:高見和義 音楽監督:崎久保吉啓 音響:内藤勝博 衣裳:前田文子 等々、スタッフ名はチラシにきちんと載っていて、企画・製作が博多座で、後援に佐世保市がついていることまで、ぺらっと一枚のチラシ情報でわかるのに、キ…

恵比寿ガーデンホール 『Peter barakan's Live Magic』

開場まで15分押し、だけど久しぶりのライヴで、そんなこと全然気にならない。スタンディングの人と、指定席の人で入り口が違う。スタンディングはいつものように番号を呼ばれるのを待ち、指定席は三々五々入場してゆく。二階のフードマジックは、茶色の紙袋…

新国立劇場 中劇場 新国立劇場演劇 2022/2023シーズン『レオポルトシュタット』

幻の、荒れる海の向こう岸に、豆粒くらいの人影が見え、その後ろの激しく揺れる木々と降りしきる雨で、姿が霞みそう。小さい人影は、体全体を使って手旗信号を送ってくる。「レ―オ―ポ―ル―ト―シ―ュ―タ―ッ―ト」、そんなような気がいたしました。過去から現在へ…

浅草寺境内 平成中村座 十月大歌舞伎 『第二部 「綾の鼓」「唐茄子屋 不思議国之若旦那」』

『綾の鼓』。三人三様の、かなわぬ恋を描いた芝居だね。美しい華姫をいちずに慕う三郎次(中村虎之助)、退屈まぎれに庭掃きの三郎次を呼び出し、綾の鼓を与え、鳴れば思いをかなえるという華姫(中村鶴松)、亡くなった子供と同じ年齢の三郎次に鼓を教える…

武道館 『NORAH JONES JAPAN TOUR 2022』10月14日

「ノラ・ジョーンズのコンサートに行かないか?」と言われたら、いけすかない奴の誘いでもつい、うんと言っちゃう、という映画が昔ありました。と、突然思い出し、二つ返事でついてきた家族の顔を見て、こっそり笑ってしまう。さそう方も満を持してさそうよ…

猪熊弦一郎現代美術館 『常設展』

どんな風にも描けるということは祝福で、そして厄介だ。重荷で、苦しみにもなりかねない。と、猪熊弦一郎の絵を見て思いました。今日の展示には、まず猪熊の22歳の自画像(1924)がある。これがさー、もー、めっちゃいい絵なんですよー。買うなら(買えない…

東京芸術劇場プレイハウス 東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション『スカーレット・プリンセス The Scarlet Princess』

これほど自分の国と西洋が、遠いと思ったことはない。そしてその自分の国の古典芸能の価値観を、なんとなく面白く享受しているだけで、ぜーんぜん深く考えていなかったことも、浮き彫りになったよ…。 子供は、みずからの(おひめさまことばでもある!)一部…

東京芸術劇場シアターイースト 東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ワールド・ベスト・プレイ・ビューイング 『ローマ悲劇』

えーと、divide(分ける)、unite(合わせる)、divide、unite、頭の中を工事現場みたいに単語が点滅して、目がちかちかする。ファーストシーンこそ割らないけど、この芝居――映画――映像は、イヴォ・ヴァン・ホーヴェとカメラが力を合わせて画面を分割しまく…

東京芸術劇場シアターイースト 東京芸術祭2022 芸劇オータムセレクション ワールド・ベスト・プレイ・ビューイング 『モリエール』

1978年、39歳のアリアーヌ・ムヌーシュキンが撮った映画。気鋭の作家さー。モリエールの逸話では、どこかで聞いた、瀕死のモリエールが「劇場で働く人のために、今日も舞台に上がらなくては」っていった、という話が琴線に触れるけど、この映画にはない。代…

東京芸術劇場シアターイースト 東京芸術祭2022 芸劇オータムコレクション ワールド・ベスト・プレイ・ビューイング 『最後のキャラバンサライ(オデュッセイア)』

(うっ) 心に鋭い一撃を受けてつんのめる。 「あなたに愛なんてわからない」 難民申請を却下されたアリが強制送還を拒んで激しく抵抗する。と、混乱の中で、自分と弁護士の電話番号を渡そうと、必死に彼を呼ぶ通訳がそれを阻まれ、当局のガードに向かって大…

あうるすぽっと ヨーロッパ企画第41回公演 『あんなに優しかったゴーレム』

ある町にテレビのドキュメンタリー・チームが現れる。プロ野球選手神崎(酒井善史)の生まれ育った土地で、彼の個人史を振り返るためだ。町はずれには土の巨大像ゴーレムがあり、テレビの人々は驚くが、神崎はナチュラルに懐かしがるだけだ。その上、神崎は…

パルコ劇場 PARCO PRODUCE 2022 『凍える』

シリアルキラーのラルフ(坂本昌行)の、犯行と逮捕、服役、ラルフに殺された少女ローナの母ナンシー(長野里美)の心痛と二十年に及ぶ苦しみ、ラルフを分析する精神科医アニータ(鈴木杏)のセッションと彼女自身の個人的苦悩を、薄刃のナイフで切り取って…