2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

下北沢OFF・OFFシアター 『漂う、傍観者ども』

若い作家の人って、結構強盗の芝居を書いてしまう。日本で奪われるのはきまって「金」、国で一番価値があるたいせつなものがお「金」だからだ。(これが宗教の力が強い国だと「主教」誘拐とかになる)深井邦彦1985年生まれ、彼が奪うのは素性の知れない「銀…

角川シネマ有楽町 『バビロン』+『Dread Beat and Blood/ダブ・ポエット リントン・クウェシ・ジョンスン』

…2回見ちゃったよ。1回目は予備知識なく見たから何が何だかわからなかった。トラックで運ぶあの大きな箱は何?レゲエのバトルって?結局この人たち、チームなの?ジャーって何? ようやっと私に伝わったのは、恐ろしいほどとげとげしい景色——砂利、泥濘、…

有楽町よみうりホール 『ロミオとジュリエット』

囲い込まれた私たちは戦いを見、憎悪を見、そして愛を見る。ただ見る。見るだけだ。それは「演劇」という幻かもしれないし、もしかしたら何かのゲームなのかもしれず、ひょっとすると客席と地続きの現実——ウクライナ戦争やコロナ――であるかもしれない。それ…

東急シアターオーブ ミュージカル『アナスタシア』

こんなところに、「ロマンチック」は生き延びていた。いろいろ文句が多い、恋愛ものを見ても「あー、はいはい」という、そんなひねた私も『アナスタシア』にちょっと黙ったのである。体の中の、「ロマンチック」の干乾びた函が、魔法の水で蘇る。 革命のロシ…

品川プリンスホテル クラブeX THEATRICAL LIVE 『僕らの千年と君が死ぬまでの30日間』

下級貴族の妾腹の子光蔭(浜中文一)と、下人として使われる孤児草介(辰巳雄大)、口のきけない不思議な力を持つ少女とわ(菅原りこ)の、千年続く人生ともつれた愛。ふむふむ。浜中のとても緊まった、これ以上ないトーンの声が、キーボード(伊藤隆博)、…

東京芸術劇場プレイハウス PARCO PRODUCE 2023 『橋からの眺め A View from the Bridge』

「でも、50代が見えてきたときに、俳優として自分を捉え直さなければ」と、 言うたね。そんなら私も言う。伊藤英明、身体が硬い。柔軟性がない。だから台詞を忘れたとき、ぽきっと真っ白になる。まず体を柔らかくする。それから、眼で戯曲を読んだ時に、「台…

TOHOシネマズ日比谷 『スイート・マイホーム』

おもしろいじゃないの!と感心するのだった。斎藤工ってすごいね、どこからどう来てどうなった人なの?とか、そらこれだったら福山雅治出資するやろ、とか思った。後半、ものすごく面白い。手に汗握る。意外な展開。そして怖い。夫(窪田正孝)は妻(蓮佛美…

song & supper BAROOM(バルーム) 坂東玉三郎 PRESENTS PREMIUM SHOW 〈口上&衣裳解説〉

恋が浮世か浮世が恋か、とうっすら流れる地歌が、じわっと100席の洒落た円形劇場の空間を変える。玉三郎が、うちの狭いリビングに来たみたいに近い。肩が黒(いい黒!)で、下のほうが薄い藤色になっている着物は、「こぼれ松葉に梅」の裾模様だ。清長の浮世…

ユーロスペース 『福田村事件』

図式。日本人が国を奪い、その民を虐殺する朝鮮から帰ってきて、福田村で百姓になると決意している元教師澤田智一(井浦新)は、いつも画面の端にいる。空白の心を、それは示す。んー、そうだね、でも実のところ、そうした仕掛けは心を打たない、それよりも…

日産スタジアム 『B'z LIVE-GYM Pleasure 2023 -STARS-』

キタイニコタエル 日産スタジアムを埋める、5万だか、6万だかの観客を眺めながら、そこんとこを考えていた。5時48分、風は3メートル、気温30、1℃、ステージの温度は32,9℃だ。期待に応え、応えして、本日B’zはとうとう35周年ライブを行っている。会場に来…