2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

草月ホール リーディングドラマ『終わった人』

「ははあ。」というのであった。時折劇場で見る西洋の俳優の体幹は分厚く、ツイードなどのジャケットを着ていても、ああジャケットが喜んでんなーと思うくらい、「隆(りゅう)としている」。中井貴一が躰鍛えているとことさら言ってるのを見たことはないが…

シアタートラム シス・カンパニー公演 『いつぞやは』

さりげなく、とてもさりげなく客席を巻き込んで芝居は始まり、大きな無機的なパネルに囲まれ、グレーの机にグレーの椅子が置かれたその場所は、「稽古場」であり、「青森」であり、「東京」であり、また「舞台」「劇場」である。「宇宙」であり胸の裡である…

六本木トリコロールシアター ドラマ・リーディング 『それを言っちゃお終い』

芝居のぉ!足がぁ!みじかぁああい!凧のしっぽがなくてぐるぐるまわってる!景色が見えない!これフランスの芝居でしょ?フランス人てみんな試験ですごーく哲学的思考とか論理的展開を勉強するんじゃなかったっけ?「芝居の芯」を運ぶ足、凧に重さをつけて…

京都四條 南座 坂東玉三郎特別公演 片岡愛之助出演 『怪談 牡丹燈籠』

入場時間の4,5分前に南座につく、こんなに暑いからだろう、もう開場したといっている、劇場の中はぴーんと冷やしてあり、左手に「とらや」の暖簾が見えて、えーとらやでお茶ができるんだなと思うのだ。席に着きながら上を見上げると、やわらかいアールで囲…

下北沢ザ・スズナリ 小松台東 『オイ!』

「宮崎弁で劇作する」、それについてわたし、誤解していたみたい。たとえばボール紙の円盤に、都道府県の名前が細かく割って書いてあり、その中心から赤い矢印が出ている。この矢印は動かせて、どの土地の上にも来る。そしていま、矢印は偶然「宮崎」の上に…

紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA こまつ座 第147回公演「昭和庶民伝三部作」第二作 『闇に咲く花』

小さくひとすじ、音楽が鳴り、それが生で演奏されるギターの独奏だとわかる。音楽は舞台の内側に聴こえていて(神社の境内でただギターを弾く人だと台詞で説明される)そして舞台の外、観客の私たちの耳に届いている。ギターの演奏(水村直也)は、つぶやく…

浅草公会堂 尾上右近 自主公演 第七回『研の會』

「雷門の先、二つ目の通りを右折、」観光人力車のお兄さんに教えてもらって角を曲がる。ぎらりと白く道が光り、暑いぜあさくさ。浅草公会堂の今日は、尾上右近の自主公演第七回『研の會』だ。 演目は『夏祭浪花鑑』と『京鹿子娘道成寺』となっている。門外漢…

シアタークリエ 『家族モドキ』

私の席の周りからは鼻をすする音が聞こえ、忙しくハンカチが取り出され、終演後には思わずといった感じで立ち上がる人もいる。ねー。舞台に掛ける合格点の芝居って、せめてこのくらいじゃないとダメでしょう。 一軒家に一人住む男高梨次郎(山口祐一郎)。彼…