2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧
下手のすっごく前。衣装ラックがよくみえる。黒にピンストライプの背広があり、その後ろにズボンが、外輪(そとわ)に足をつっぱらせてかかっている。背広には白シャツが寄り添い、赤いネクタイが輪っかにひっかけてある。グリーンのジャージの広がった足も…
「ライブ・マジック エクストラ」よりさらに5人少なく35人、なんかゲームのサバイバーみたいだけど、あたりました、今日も来た。くじ運がなくて、競争に弱く、子どものとき、棟上げ(家を建てる祝儀に、家の骨組みに大工さんが上がり、餅、小銭を撒く)で餅…
「その六月、どんなあてもなかった。」(佐藤泰志『草の響き』) 素晴らしい書き出しだ。身体の中に暗い空洞が見える。そこは塗り込められたように真っ黒で、目を開けていても閉じていても、大して違いはない。手を伸ばしても何にも触らない。その場所に佐藤…
「お互いに、ああしろこうしろと押し付けないで、ただ一緒にいるだけでは駄目なの?仕事だけじゃない、人生についても、そして考えることについても自由でいたい。上下関係をもたない生き方」(『トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉』ボエル・ヴェスティン著…
芝居の帰り、ターミナル駅始発電車の運転手は女性だ。先頭車両の正面と側方を指さし確認して、小柄でロングヘアの彼女はドアを開け運転席へ入ってゆく。思春期の少女たちの鬱、というか無気力状態を改善するためには、社会のあらゆる分野で活躍する女の人の…
すんごくくじ運のいい40人の人々が、次々に「晴れ豆」に入ってくる。わくわくしてる。身体が楽しそう。バラカンさんのいる上手後方から順に、席が詰まっていく。ふと上方をみると、照明を吊るすパイプがかすかに湾曲し、端でミラーボールが控えめに回って…
『小梅と一重』あのー、下座の音楽が大きすぎて、小梅(河合雪之丞)が出てくるまで台詞が聞き取れない。小梅が出て来てようやく、この芝居に色彩が載る。たぶん、一重(水谷八重子)が「一中節」の師匠であることから、一中節がすごく重要なのでは。水谷の…
戯曲を黙って一人で読む。ああ、これ、こんな話なんだな、はいはいと思う。面白いシーンに笑ったりする。つまらないシーンを残念だなと思う。光線は天から降り風はそよそよ、世はなべてこともなし。で、他人が読みあわせるのを聴く。すると、中に、圧倒的に…
「誰のための映画か」という問いと、「写真は誰のものか」という問いは、少し似てるね。 チッソ社長ノジマ(國村隼)の、「この人は(ユージン・スミス)一人で来たの」という台詞が日本語の台詞の中で一番いい。「この人」、微妙な距離と、小さな畏敬。國村…