2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧
信濃の山路木隠れに 聞くは御堂の明けの鐘 はるかに見ゆる浅間山 燃えて身を焼く、 と、メモして顔を上げ茫然とする。眉を寄せて考える。情報が多すぎて自分の外に零れてるのを感じるのだ。鶴見俊輔って、零れてるものを大切にする人だったなあ。東大を頂点…
単線の手漕ぎトロッコに乗っていたら、いつの間にかぴったりと球の中に閉じ込められていました。と思って観終わった。すごく面白かった。この芝居を面白くしているのは、まず登場する俳優たちの誠実さである。IT企業の社長鳥井勇気(藤原竜也)、離婚したい…
水谷八重子の芝居は昔よくNHKでやっていたけど、子供にはそれほど面白くなく、チャンネル変えがちだった。しかし、大人になってから、水色の着物を着て体をそっと折り、振り向いている舞台写真を見て、吃驚した。それこそ「臈たけた」、「愁いある」美し…
おおよそ200人の人物を動かして『篤姫』の台本を書き、ヒットさせた田渕久美子だけど、わずか3人の登場人物による2時間弱の『オトコ・フタリ』には手古摺ったようである。大体、この企画、どういうの?ミュージカルスターによる楽しいおまけ的な何かだったの…
見たところ1200円はしそうな立派なパンフレットが只。皆口ではいろいろ言うけれど、実際に無料にするというのはとても難しい。だって興行だもの。偉い。ひとしきり扉座の果断に感心し、すごいなーと思った後で、芝居(リーディングだけど)を観て考え直した…
お湯の出るカランと、上等の一枚で水気がふき取れるペーパータオルを完備した洗面所のある、ここは有楽町の朝日ホールだ。 会場中央の両端に華奢なカメラが据えてあり、記録用かと思ったら、暮れにテレビ放送すると最後にイッセー尾形自身が軽い感じで言って…
フリーザーから出したばかりの仔牛のあばら肉で、奥さん(さいしょの)にぶんなぐられそうになった(いや、なぐられた?)ニール・サイモン(そのわけは出世作『裸足で散歩』などで、夫の台詞を読めばわかる)は、こんな芝居も書いていたんだね。 1953年、マ…
パラドックス定数、熱烈なファンがたくさんついている。終演後、脚本を買い求める女性の長蛇の列をみれば、わかります。しかし、何故こんなに人気なのかはわからない、世界には細緻な知識とその披瀝を楽しむ人たちが多いせいなのかな。この『プライベート・…
「あー、はいはい」ビュフェのポスター、ビュフェの絵葉書、ビュフェのリトグラフを見るたび、足ばやに通り過ぎてきた。「絵が黒い→ビュフェとわかる→無視する」の連鎖反応。まあビュフェの黒も、一筋縄ではいかんということが、このたびのビュフェ展でわか…
鈍色の空、鈍色の荒れる海。この海佐渡かな。息子元雅(『隅田川』を作ったことで知られる)を喪い、流刑になった世阿弥の心に映る海だろう。これは家族が解体する物語、そして生成する物語だ。 清水くるみ、頑張りました。地下アイドルとして13人のファンの…