2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

紀伊國屋ホール 秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場 第130回公演『老いらくの恋—農の明日へ』

「老いらくの恋」「農の明日へ」…題名が、割れてるよね?前者は農家の老年の男農夫也(のぶや=葛西和雄)が虜になり、昼夜分かたず夢中になっているものや、彼の日常生活を語り、後者は「農業」について、その国内自給率が均して38パーセントであることを…

世田谷パブリックシアター 『ART』

マルク(イッセー尾形)は航空エンジニア、セルジュ(小日向文世)は皮膚科医、イヴァン(大泉洋)は文房具の会社に勤めてる。これさ、いつかは破綻が来る友情だったのかもね。エンジニアは「内部」を扱い、皮膚科医は「表面」を専門とする。以前は繊維を、…

新宿・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA 劇団民藝『カストリ・エレジー』 

えー、これ30年前に、鐘下辰男が書いた作品?ちょうどそのころ、ゲイリー・シニーズとジョン・マルコビッチの、『二十日鼠と人間』観たなあ。スタインベックの原作に、鐘下が付け加える人間の複雑さ(戦争で日本人の負った傷、負わせたことでまた負う傷)が…

東京都美術館 『マティス展』

アンリ・マティス(1869―1954)のごく初期の伝統的な筆致の絵、『読書する女性』(1895)は、作家26歳の作品だけど、さあっと国に買い上げられている。戸棚の上の白いランプ様のもの、ぼんやりした聖像らしきもの、茶の小さな瓶、鮮やかな緑のちょっとアンフ…

東京建物 Brillia HALL 『BACKBEAT』

初期ビートルズの一員スチュアート・サトクリフ(戸塚祥太)の恋人アストリッド(愛加あゆ)が、なんかいまいちつまらない女の人に作られたまま放置されているのは、これ演出(石丸さち子)の意図なのかな。スチュとアストリッドの愛は、フェイクにすぎない…

世田谷パブリックシアター インバル・ピント『Living Room』

こないだうち、一生懸命テレビ版を見ていた『エヴァンゲリオン』というのは、少年の悪夢のような第二次性徴期を、克明に描くものだった。インバル・ピントの新作『Living Room』は、その少女篇、ていうか、ガールズエヴァンゲリオンみたいだったなあ。エヴァ…

新宿バルト9 『静かなるドン』

ヤクザ映画、キョーミなし。マンガも映像も全く見たことなくて、ごめんね。現代日本でヤクザ映画無視して生きてきた、そのこと自体私が社会と関係なかったことを表している。役職順に並んで昼食から帰ってくる会社員を、ばかばかしいと笑えない、つらい男の…

シアタートラム イキウメ『人魂を届けに』

「人魂」みたいな芝居よねー。深山幽谷、どこだか知れない森の奥に、山鳥さん(篠井英介)は棲んでいる。「おかあさん」と呼ばれる彼女の家の中には、男たちが、点々と胎児のように眠りながら「落ちている」。そこへ、死刑を与えられて死んだはずの男の「魂…

紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA 『KOKAMI@network vol.19 ウィングレス 翼を持たぬ天使』

一人の天使(榊原一郎=福田悠太)が女(絹田玲菜=大野いと)に惚れ、人間として地上に降りる。女に振られた天使は、また天上に戻ろうと、人を本当の意味で救うため奮闘し、スピリチュアル団体の神の声を名乗る男(神山英雄=渡辺いっけい)と敵対する。…こ…

世田谷パブリックシアター 『TSURUBE BANASHI 2023』

フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの『リラックス』が鳴ってる。鶴瓶のステージではスパッとした音楽がかかっていることが多いけど、今日は80年代前半の音楽らしい。あー。内省的なことがめっちゃ嫌われていた時代さー。生きづらかったー。さ、そんな…

THEATER MIRANO-Za 『舞台・エヴァンゲリオン ビヨンド』

陰と陽、スクリーンに現れるキノコ雲は噴きあがり、ドライアイスのような白い煙は下へ下へと重たく降りてゆく。男と女、陽射しと暗闇、陰陽は相補って、互いが存在することで、自分自身の象(かたち)を明確にする。舞台には大きな「坂」があり(あのスケー…

TOHOシネマズシャンテ 『せかいのおきく』

『さまよえる人々』(1995、ヨス・ステリング)って映画あったよね。肥溜め出てくるから思い出しちゃった。あの中に出てくる肥溜めは、さむさと、何かしらの苦痛と、不潔さと腐敗と死と絶望が匂ったのに、こっちの『せかいのおきく』の肥溜めは、ぼうっとし…