2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧
人数分に汁物を取り分けて、いつも貝杓子一杯分だけ鍋に残してしまう癖が私にはあって、これはDNAに刻まれた先祖の飢餓の記憶だなと思う。40年ぶりに読む大作小説の登場人物が、知り合いのように懐かしい。ていうか知り合いなのだ。生きれば生きるほど、記憶…
「弾きすぎないでね」 『阿古屋』を玉三郎に引き継ぐとき、六世歌右衛門がこう言ったというのだが、それで歌右衛門がすごいひとだったとわかる。一方引き継いだ玉三郎は、『阿古屋』の二つのサワリに、平家の盛衰が見える、と、口上でゆっくり教えてくれ、こ…
平日の午後、小さい映画館だが結構お客が入っており、後半になるにつれ観客のすすり上げる声が大きく響く。 いい映画(はなし)なのだ。 ある日、ハロルド(ジム・ブロードベント)は、一通の手紙を受け取る。昔の同僚クイーニー(リンダ・バセット)からの…
第二次大戦がはじまるちょっと前に死んでしまった若い詩人は、生前こんなことを言っていた。僕の理想の家には長火鉢があって、それを前に着物を着たまだ見ぬ僕の奥さんが座っている。しかし、スイッチを押すと部屋は一変し、椅子に洋装で、さっきの奥さんが…
2回目。前説の東貴博のフジイ8段が、似なくなっている。おもしろくない。客を笑わせながら自分も面白がるってことが、どれだけ難しいかを目の当たりにする。10回目/30回でもう飽きたのか。東貴博はずいぶん見せない苦労をしてここまで来た人だと思うが、…
東京の観に来れないひとたちごめん。2024六月博多座大歌舞伎夜の部、通し狂言『東海道四谷怪談』、よい舞台でした。始まり週の水曜日、例によって観客がとても少ないけど(県庁と市役所の偉い人、どうしたのさ、なにしてる?)、観終わったお客さんたちは、…
すいすい流れる芝居、と観客が思う、ということは、舞台に立っている当人たちにとっては、上演中の時間が、きらっきらに感じられたのかなあ。カーテンコールの三宅裕司は初日の出来にちょっと泣きそうで、ステージはほんのすこししんみりしてるのだった。え…