2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧

世田谷パブリックシアター りゅーとぴあ×世田谷パブリックシアター 『住所まちがい』

んー。これ、何でやろうと思った?この戯曲、三位一体の神とかマリア信仰をダイレクトに扱っててむずかしいじゃない?しかも1990年初演。古い。 三人の男が、めいめい違った住所のメモをもとに、同じ部屋にたどり着く。一人は会社の社長(仲村トオル)で、女…

新国立劇場 中劇場 2022/2023シーズン 演劇 海外招聘公演 『ガラスの動物園』

耐え難い牢獄の臭気を感じる。壁に描かれたたくさんの顔が、ここが実は人を閉じ込める檻で、いわばほんとうの「動物園」なのだと話しかけてくる。室内を表わす装置は、外(上)へ出る階段、四角い小さな窓、四角くひっこんだ台所が設えられているだけで、ま…

浅草九劇 札幌座・道産子男闘呼倶楽部 『五月、忘れられた庭の片隅に花が咲く』東京公演

鄭義信の濃い芝居。夕張の炭鉱、事故、そして静かに凋落してゆく街を、崩壊した小さな家族の中に映し出す。どこも手堅く、しっかりできていて、綻んだ関係をまるでギリシャ悲劇のように語る。これ鄭義信の得意技だよねー。いつも通り。でも、ものすっごく集…

彩の国さいたま芸術劇場 大ホール 彩の国シェイクスピア・シリーズ『へンリー八世』

悩みって集中力だよね。何をしていても、「それにつけても…」と悩みに戻る力、そしてわざわざ悩みの中へとまた入って行く力、集中力があるから悩みが生まれる。 阿部寛の王さま(ヘンリー八世)は、集中力が今一つ。冒頭の暗がりから現れる王の叫びは、赤ん…

KAAT神奈川芸術劇場 ミュージカル『夜の女たち』

舞台上が、フィルムのコマを白味と黒味につなげた碁盤縞だ。青みを帯びた舞台が、去っていった夥しい死者を思わせる。そして、コマの一つ一つが、戦場や空襲や飢え死にの惨劇を映しているように見えてきた。日本(語)の土壌から生まれた音(声)が、台詞に…

本多劇場 イキウメ『天の敵』

「永遠と」っていう、今日びの言い回しが一か所だけ入ってて、すわりがわるい。これくらいのさりげなさで、それぞれの時代の言葉がかすかにあってもよかったねー。『天の敵』は一世紀にわたる一人の男の物語だけど、時代色が薄いからさ。それともこの気持ち…

Bunkamuraシアターコクーン 『血の婚礼』

木村達成、「かっこいい」のポテンシャルが高い。私がファンなら「全通」だ。でも、一方で、「かっこいい」を大事にしてる役者のことは(どうだかなあ)と思ってもいる。それでもこの『血の婚礼』の木村、ただ一人名前のあるレオナルドはつきぬけてかっこい…

TOHOシネマズ渋谷 『ブレット・トレイン』

真田広之、おじいちゃんの役受けるのやめなよ。と、ちょっとむっとしているのであった。列車「ゆかり号」の狭い通路で、右から左、左から右と敵を薙ぎ倒す太刀筋を見てると、シャープで修練されていて、まだおじいちゃん早いだろ。 東京を出発した新幹線に、…

配信 パルコ・プロデュース2022 『VAMP SHOW ヴァンプショウ』

1992年。初演観ました。みんなで女を「まわしちゃうぞ」という表現が凄い嫌だったのと、藤井かほりの事を(これ儲け役だなあ)と思ったなあ。コンパクトで片付いた芝居で、おもしろかった。駅長はこんなに出てこなかった、そして「まわしちゃうぞっていやだ…

角川シネマ有楽町 Peter Barakan's Music Film Festival  『モンク/モンク・イン・ヨーロッパ』

発表します。わたし、セロニアス・モンクがにがてー。すきになれないー。勿論、セロニアス・モンクがたどたどしく弾く、落ちて輝く水のようなピアノはとてもいいとは思う。けど、モンクの作曲現場(メンバーの一人がコードを書きとり、モンクが自分の身体の…

角川シネマ有楽町 Peter Barakan's Music Film Festival  『真夏の夜のジャズ』

「ジャズ好きじゃないもの、冷やかしよ」 ジェリー・マリガン(バリトンサックス奏者)が好きだという青年の声に続いて、甲高い娘の声がする。私もね、ジャズ好きかどうかわからないよ。今日の『真夏の夜のジャズ』鑑賞も、彼女と同じ、冷やかしかもしれん。…

自由劇場 ミュージカル『ダブル・トラブル』2022夏 Season C

明るさが、二段階に調節できるサーチライトみたいに、原田優一の喉が二段に開いて、客席を眩しく照らす。準備万端だね。テンションと集中力もきっちりだ。二人(原田優一、太田基裕)とも生き生きと芝居する。初演より、前半躍動しており、面白くなってる。 …

角川シネマ有楽町 Peter Barakan's Film Festival 2022 『さらば青春の光』

夜、お出かけしている間に、家が16,7歳の鴉みたいな若者でいっぱいになり、酒を飲んでセックスをし、花壇をスクーターでめちゃくちゃ荒したら、と思うと、顔が青ざめる感じ。もう私はジミーになれない。しょうもないおとなだよ。システムだ。がっかり。 ジ…

角川シネマ有楽町 Peter Barakan's Film Festival 2022 『アメリカン・エピック1~4』

あのー、わたし今日長く映画館に居て、アタマもうろうとしてるかもだけど、『アメリカン・エピック』はほんとに観てよかった。1920年代、ラジオが家庭の娯楽の首位を占めると、レコードの売り上げはみるみる落ちた。そこでレコード会社は地方にスカウトを派…

角川シネマ有楽町 Peter Barakan's Music Film Festival 2022  『ブリング・ミンヨー・バック!』

風の盆の一週前の富山駅は、静かに手をかざして踊る八尾の人たちの映像でいっぱいだ。(へえー)お土産買いながら見入った後で、ふと一瞬涙出たりするのであった。なんだろ。あんなに見物人いるのに、見せようと思っている人がおらん。人のために踊ってない…

俳優座劇場 劇団昴公演 SUBARU No.37 2022 『評決』

弁護士資格剥奪寸前まで追い詰められ、所長の娘とも離婚したフランク・ギャルビン(宮本充)が、酒浸りの日々を過ごすうらぶれた事務所の光景で、急速に違和感を感じる。 (だ、脱輪してる) 訴訟の御用聞きのため葬儀場に電話する声は滑舌がきちんとしてる…