TOHOシネマズ渋谷 『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』

ふふーん。いまこんななってんのかスパイダーマン。感心しながら目の前のトム・ホランドのスパイダーマンが、身元をばらされドローン攻撃したと非難され、MJ(ゼンデイヤ)を抱えて家に帰り着くまで、私も頭の中で忙しく走る。私、最初期の二作しか観てない…

Bunkamuraザ・ミュージアム 『ザ・フィンランドデザイン展』

北欧の森には白樺やトウヒが生え、木々を通して斜めに白い陽射しが地衣類の上に丸く落ち、道を歩くものになにか波動を送ってるみたいである。フィンランドの人口は福岡県と同じくらい、けど国土は日本と変わらない広さだ。人が少ない。森が近い。 1917年にロ…

彩の国さいたま芸術劇場大ホール さいたまゴールド・シアター最終公演『水の駅』

イキテイル水。すべてが、暗く、幾何学的で、しんと静まり返っているのに、舞台の真ん中にある蛇口から流れ出る水だけが、細く光りながら身をよじって落ち、華奢な銀の鎖のようだ。立てる音は意外に低く、川や春の雪解け水をすぐ思い出させる。 あのー、最初…

紀伊國屋ホール 扉座創立40周年記念公演『ホテルカリフォルニア ―私戯曲 県立厚木高校物語―』

犬飼淳治、儲かっている!儲けている!中学までは「勉強ができる」ことが自分のキャラで、進学校に進んだ途端、「特徴のないふつうの高校生」になってしまった子の、無口でぎこちない苦痛の表現、佇まいが素晴らしい。すこし周りの空気が蒼ざめて温度が低い…

吉祥寺アップリンク 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』

ワン・トゥ・スリー、暗闇・うすくらがり・ひかり、暗闇・うすくらがり・ひかりと、登場人物が現実には見えないもの、自分の影とダンスを踊る。 ローズ(キルスティン・ダンスト)は元夫と、フィル(ベネディクト・カンバーバッチ)は伝説的カウボーイブロン…

本多劇場 ナイロン100°C 47th SESSION 『イモンドの勝負』

いろんなものがシームレスに、なだらかに続いているなー。『ちょっと、まってください』の時は、その先にあるのは不条理な、別役的世界だったのだが、今作では、対立する概念が、毛糸編みのミトン手袋みたいに、手首のところで一つになっている。すげーよ、…

東京芸術劇場シアターイースト NODA・MAP番外公演 『THE BEE』

殺人犯の小古呂(おごろ=川平慈英)って、実在?てか、居るの?と終演後、頭の中が?でいっぱいになる。そして、全然別の空間の、全然関係ない小さい子供の震え声の問いを思い出す。 ――鬼って生きてる? 子供のにいさんは、やってることの手も休めず、生き…

PARCO劇場 パルコ・プロデュース2021 『ザ・ドクター』

おもしろいじゃないの!ずーっと目の前の舞台に釘づけだった。医師ルース・ウルフ(大竹しのぶ)の患者が死に瀕している。患者は14歳で、中絶に失敗した。両親は海外で、飛行機でこちらに向かっている。両親の意を受けたといって、神父(益岡徹)が最後の典…

世田谷パブリックシアター 〈りゅーとぴあ×杉原邦生〉KUNIO 10『更地』

ポストトーク出演の白井晃は、11月14日開幕のKAAT『アルトゥロ・ウイの興隆』を控えており、11月28日には、来年1月の『マーキュリー・ファー』のチケットが一般発売される。紹介せんと駄目やん、杉原邦生。 劇場に入ると、奥に向かって高くなっている白い二…

Bunkamuraル・シネマ 『ジャズ・ロフト』

写真には音がない。あたりめーだと思うとこだけど、36歳で既に写真界(?)の大立者となっていたユージン・スミスにとって、そのことは痛切に意識されていた筈。大甘(おおあま)の写真だと、写真評論家が口元をへの字にする有名な『楽園への歩み』は、3,4…

練馬文化センター 小ホール 『イッセー尾形の妄ソー劇場 その4』

下手のすっごく前。衣装ラックがよくみえる。黒にピンストライプの背広があり、その後ろにズボンが、外輪(そとわ)に足をつっぱらせてかかっている。背広には白シャツが寄り添い、赤いネクタイが輪っかにひっかけてある。グリーンのジャージの広がった足も…

Bunkamuraル・シネマ 『TOVE/トーベ』

「お互いに、ああしろこうしろと押し付けないで、ただ一緒にいるだけでは駄目なの?仕事だけじゃない、人生についても、そして考えることについても自由でいたい。上下関係をもたない生き方」(『トーベ・ヤンソン 人生、芸術、言葉』ボエル・ヴェスティン著…

パルコ劇場 PARCO Produce 2021『ジュリアス・シーザー』

芝居の帰り、ターミナル駅始発電車の運転手は女性だ。先頭車両の正面と側方を指さし確認して、小柄でロングヘアの彼女はドアを開け運転席へ入ってゆく。思春期の少女たちの鬱、というか無気力状態を改善するためには、社会のあらゆる分野で活躍する女の人の…

東京建物ブリリアホール 岩井秀人(WARE)プロデュース『いきなり本読み!in 東京建物 Brillia HALL』

戯曲を黙って一人で読む。ああ、これ、こんな話なんだな、はいはいと思う。面白いシーンに笑ったりする。つまらないシーンを残念だなと思う。光線は天から降り風はそよそよ、世はなべてこともなし。で、他人が読みあわせるのを聴く。すると、中に、圧倒的に…

すみだパークシアター倉 KAKUTA第30回公演 『或る、ノライヌ』

断念の物語。と纏めるのは簡単だが、まずは題名の「ノライヌ」でひっかかってしまう。ノライヌ小学三年以来見たことないよ。ってぶつぶつ呟きながら舞台を見ると、肩寄せ合うように並ぶ5本の電信柱が、ここは重層的な空間ですよと控えめに教えてくれる。 201…

TOHOシネマズ日比谷 『マスカレード・ナイト』

「練りに練った緻密な脚本」(パンフレット)。何に向かってどう練った。推理物だから筋は練ったのかもしれん。しかし、台詞はどうよ、台詞は。新田刑事(木村拓哉)の「あなたのその眼は…」という大切な台詞、係り結びがおかしいぞ。作品以前に文法が問題、…

観劇三昧 小松台東 『ツマガリク~ン』

朽ちかけの、電線を巻き取る巨大ボビン(?)が、ちょっと怖い。古いベンチや機材が投げやりに積み上げられ、フェンスで仕切られている。このくすんだ廃墟を隔てて、休憩用の屋外すいがら入れと、ベンチが中央にある。ベンチだけが、あざやかな青空色。 上手…

配信 DULL-COLORED POP 『丘の上、ねむのき産婦人科』

ずいぶんよく調べて書かれている。医療の監修や、ジェンダーの観点からの監修も入っている。だからたぶん、あきらかな思い違いというのはほとんどないのだろう。谷賢一は善意の男性で、出産の「当事者性」を掘り下げながらこの作品を書いた。19歳の専門学校…

シアタートラム ケムリ研究室no.2 『砂の女』

幕開け直前、オペラ『道化師』の「衣裳をつけろ」がモノラルで流れる。独りよがりにも聴こえる悲壮なテノールだ。あっそうだ、公房の『砂の女』ってモノラルで、単眼だよねってなった。冒頭の「地の文」は男(仲村トオル)の声の高さにそろえてあり、家を出…

紀伊國屋ホール ラッパ屋 第46回公演 『コメンテーターズ』

ワイドショーのプロデューサー真行寺(岩橋道子)はお買い物好きという設定で、両手にたくさんのショッピングバッグを持って登場する。ショッピングバッグの大きさは均等で、「お買い物好きのリアリティ」ははっきりいってない。しかし、その嵩張るバッグを…

Bunkamuraシアターコクーン COCOON PRODUCTION 2021『物語りなき、この世界。』

あのー。「人は無意味に耐えることはできない」っていう、古い推理小説を読んでから、あっそうなのねと物語を疑うことをしてきませんでした。それと世の中の物語を求める人、物語に乾いている人って、不幸せな人が多いと思う。いいとか悪いとかではなく、今…

新国立劇場小劇場 新国立劇場 演劇 2020/2021 『反応工程』

「あっホールデン・コールフィールド」正枝(天野はな)が田宮(久保田響介)に「逃げずに戦争へ行け」と破れた赤紙を握らせるところで、場面は凍り、孤独の中に田宮は残される。サリーは来ない。小学校しか出ていない正枝と大学へ進むであろう優秀な田宮、…

シアターオーブ 『ジーザス・クライスト・スーパースター・イン・コンサート』2021

んー。今日のラミン・カリムルーちょっと上ずってない?しかも、それが役柄のユダの動揺してるのとなぜか同調していて、動揺だか上ずってんのかどっちかわからない仕上がり。冒頭のギターソロは重さを掛けずさっと進め、照明はテレビだったら怒られるくらい客…

世田谷パブリックシアター 『森 フォレ』

装置家のつくりだした、大きな木の年輪の、傾いた舞台セットが、理詰めでこの芝居を説明してくるにもかかわらず、私のイメージはずっと、ここは(子宮)の中なのだという、どっちかっていうと強迫的な感じであった。「子宮」という日本語は、かつての男たち…

座・高円寺1 劇団扉座40周年記念 『解体青茶婆』

洋学史上、医学史上に大きな名を残す杉田玄白(有馬自由)は、83歳となっている。彼が『ターヘル・アナトミア』を翻訳したいきさつを記した『蘭学事始』には、記載されていない事実が多く、前野良沢の名前もない。それを校訂すべく、弟子の大槻玄澤(山中崇…

あうるすぽっと serial number06 『hedge1-2-3 sideA hedge/insider』

や、台詞の言い方修正したんだね。わざとらしいところがなくなってる。と思ったのもつかの間、次の瞬間物凄い悲哀が訪れる。資本を「投入」が、「豆乳」に聞こえる自分の人生に、ショックを受けるのだ。愛とお金と健康、大事な三つの物のうち、私、「お金」…

KAAT神奈川芸術劇場〈ホール〉 『イスラエル・ガルバン 春の祭典』

「宇宙ではあなたの悲鳴は誰にも聴こえない」というTシャツを着てる女の子を町場で見かけて、こわ!とビビったのだが、イスラエル・ガルバンの踊りを見た後だとさあそれはどうかなと思うのだった。さあそれはどうかな。 舞台にはおおよそ三つの円が光に照ら…

日本青年館ホール 『スマホを落としただけなのに』

上手(かみて)、下手(しもて)に向けて段々が高くなる二つの階段状のセットも、その上の平場の二脚ずつの椅子も、中央の机も、出入り口も背景も、あらゆるものが白い。そこに青い光があたって、今舞台にある全てのものが、ほんとは透明なんだといいたそう…

新橋演舞場 新橋演舞場シリーズ第7弾 東京喜劇『Jazzyなさくらは裏切りのハーモニー ~日米爆笑保障条約~』

「そんなんじゃないから俺たちの笑いは」 これまで3回熱海五郎一座の芝居を観たけれど、今日のはこんな声が聞こえてきそう。まず、角ばった五輪マークのある持ち運び卓を、首から提げた外国語訛りの男が出てくる。スーツだ。演じるのは深沢邦之である。この…

MANDOLIN 『FROM THE REHEARSAL ROOM:TOKYO』②

ラミン・カリムルーとハドリー・フレイザーが、東京のリハーサルルームから配信で歌を届ける第二部。 最初の一曲目は『ラ・マンチャの男』から「The Impossible Dream」をデュエットした。かわるがわる歌い、[ And I know…] から高音をハドリーが、主旋律を…