2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

ナイロン100°C 44th SESSION 『ちょっと、まってください』

開演前、キャスト表の、 廣川三憲:男7(警察署長) 藤田秀世:男8(会社員) というその多めの数をみて、それがもうすでに、別役世界を拡張しているようで、ちょっとわくわくする。下手に、窓を照らす大きな月、青い月光。 魚の開きのように、同じ建物が…

新国立劇場小劇場 『プライムたちの夜』

暗い色の布地がかけられた安楽椅子に、85歳のマージョリー(浅丘ルリ子)が、いかにも具合悪そうに横になると、自然と私の頭には、エッグチェアにきれいに足をそろえる浅丘ルリ子が蘇り、いやでも「記憶のニュアンス」について考えるのだった。人工知能?そ…

シアターコクーン・オンレパートリー2017 『24番地の桜の園』

くしだかずよし、攻めてる。そこにすごく吃驚する。尊敬する。この攻めの姿勢を評価するかどうかで、作品の評判が、変わっちゃうんだろうなー。 ヒロインのリューバ(ラネーフスカヤ夫人)を親しみやすい小林聡美が演じる。原作に、「気さくで、さばさばして…

イキウメ 『散歩する侵略者』

高速道路の車の音と、波の音とが混ざって聴こえるような。けれどやっぱり波の音だろうか。はるか遠くから打ち寄せる長く続く波音。悪い夢のように椅子がいくつも、思い思いの格好で倒れている。アスファルトの上にアスファルトが乗り上げたように見える三分…

東京芸術劇場 『表に出ろぃっ!』English version  ”One Green Bottle"

「テレビを体に埋め込まれた部屋」、配線色のゴールドとシルバーとコッパーがだんだらに、揚幕みたいにすべてを染め分ける。 開演10分、イヤホンガイドを外す。なぜなら、目の前の芝居とイヤホンの中、二重に芝居が進行し、ニュアンスが複雑になりすぎて追い…

東京芸術劇場 東京芸術祭2017芸劇オータムセレクション『オセロ―』

軍服姿の男(キャシオー=ロベルト・デ・ホーフ)が背景の襞の寄った幕を次々に剥がすと、幕は風をはらんで躍り上がり、沈み込み、舞台の人物に飛び掛かる制御できない巨大な生き物のように見える。中から現れるのは鉄骨の矩形の部屋、細い黒い骨組みを除い…