2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧
三時間半の大作。四谷怪談のお岩を巡る男たちの嫉妬や、四谷怪談が一種の家庭内殺人であることから、現代の事件、俗に北九州連続殺人事件と呼ばれる家族の崩壊というか、壊滅事件を詳細に語り、二つを交叉させようとする。 舞台の頭上にはニワトリなどの飼育…
「俺をほめたじゃないか!」 財産を失い失意の底にいるタイモン(吉田鋼太郎)が、軍を率いるアルシバイアディーズ(柿澤勇人)の胸ぐらをとって叫ぶ。金があり、友人たちに恐ろしく気前よく振る舞っていたころの自分に対する言葉を、タイモンは責めるのだ。…
大竹しのぶがもうすでにこの芝居で紀伊國屋演劇賞を受賞している。えええ?見物しようと靴ひも結んで顔をあげたら、ゴールしている人が見えたような気持ちー。でもそれも仕方ないのだった。圧倒的な集中力、圧倒的な演技で、大竹しのぶは芝居を引っ張ってい…
ストップモーションが美しい。天鵞絨の赤い緞帳が開くと、そこは荒涼とした河川敷のような景色、上手と下手を堤防や橋梁によくある巨大なコンクリートの壁が遮っている(グエムルを思い出した)。奥からスローモーションで群衆が出てくるが、そのスローは日…
流山で近藤勇が、とか得々と言い出す人間は、永遠にこのコミュニティには入れない。地元、地元の人間、地元のスナック、地元の魚屋、地元の友達、地元の不倫、地元の連続殺人。 兄国男(皆川猿時)の鮮魚店で働く高橋満(賀来賢人)の体には、「地元の」と書…
「最後吐いてました、原稿書くのに」(パンフレット、長田育恵) そうだろうなー。ただでさえ演劇ってその場で消えてしまうもので、それに消し去りたいとか貧しいとか弾圧とかの条件が加わると、どれほど時代と資料に穴が開くか、想像に難くない。たいへんだ…
THE CHIFTAINS 55TH ANNIVERSARY。その題字に続いて、チーフタンズ結成の1962年から、今日までの歴史が、スライドの写真で紹介される。古い写真の中で、笑っているパディ・モローニ、アメリカ初公演、ロイヤルアルバートホール完売(1975)、映画『バリー・…
ぱっとあらわれて、さっと演じ、すっと帰る。鶴瓶って、じつはそこんとこをとても大切にしているような気がする。「粋な」(関西発音でお願いします)感じ、って言語化する私は野暮の極みですけどね。 劇場では、景気のよいお囃子が演奏されている。途中で、…
クロイドン。映画に登場するこの街は、ものすごく思春期っぽい。なにもかも古くて灰色か茶色、とげとげしくて寒々としていて居場所がない感じ。ライブハウス(半地下!)の外の舗道を流れる水まで冷たく拒否的に見える。 エン(アレックス・シャープ)はこん…
日本人を踊らせた!ミヤザキハヤオくらいの年配の、ミヤザキハヤオくらい一言ありそうなおじさんやおばさんを!と、つないだ両手を上げたり下げたりしながら、ブルターニュのケルト音楽の悲しいような切ないような、美しい節に乗って通路や舞台を進んでいく…