2016-06-01から1ヶ月間の記事一覧

シス・カンパニー公演 『コペンハーゲン』

スリットを通って姿を見せる3人の人物。そこで3人は光子(こうし)のように干渉しあい、生きていて・死んでいる。 1人は量子力学の泰斗デンマーク人ニルス・ボーア(浅野和之)、もう1人はその弟子でドイツ人のハイゼンベルク(段田安則)、そしてボーアの妻…

劇団東京乾電池創立40周年記念本公演 『ただの自転車屋』

本多劇場。「笑ってる場合ですよ」の人気も一服し、客席はちょっと空いていた。どんな芝居だったか、もうすっかり覚えていないが、カーテンコールのことは忘れない。中央に立った柄本明が頭を下げながら客席を見る。あれは空席をにらんでいたのだろうか。殺…

パルコ劇場 『メルシー!おもてなし ~志の輔らくごMIX~』

中井貴一が、すきー。というわけで、私は昔の、軽さが全然なじまなかった頃の中井貴一のことを、よぉく知っている。上品で誠実、芯のある若い人。その上品なまま、ポップなCMに出たときには、胸を痛めたものだった。「これはきっと、修行だよ。」 今日の芝…

集英社インターナショナル ピーター・バラカン『ロックの英詞を読む――世界を変える歌』

英語を読んだり聴いたりした私ってさー、まるで 砂地に水がしみこんだあとの砂。 通過して、大半はどっかいっちゃう。はいはい。ざんねんさ。 そういう投げやりな気持ちでいたら、洋楽の歌詞を、ピーター・バラカンがまとめた本が出た。洋楽聴くから買いまし…

中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露 六月博多座大歌舞伎

『双蝶々曲輪日記 引窓』 「引窓」ってなんだ。『双蝶々曲輪日記』読んだけど、頭の中でそこんところがあいまいだった。どうしても、丸い、明かりとりの、「虫籠窓」を思い浮かべてしまうんだよね。「蝶々」のせいだ。 実際に舞台を見ると、瓦のない屋根に、…

新国立劇場中劇場 『あわれ彼女は娼婦』

ジョヴァンニ(浦井健治)とアナベラ(蒼井優)の兄妹は、禁忌をおかして愛し合う。子供ができてしまったアナベラは、それを隠して有力な貴族ソランゾ(伊礼彼方)のもとに嫁ぐ。 とてもセンセーショナルな題材だ。でも、なぜ妹と愛し合ってはいけないのです…

明後日プロデュースvol.1 『日の本一の大悪党』

友達が来る日の、家の片づけ。塩梅がわからない。どのくらい片付けたらいいのか。蛇口の金具の曇りを取り、棚の塵を払う。片づけているうちにスイッチが入っちゃって、戸棚の整理、マガジンラックの撤去までして、段々に日頃の自分の部屋と、かけ離れていく…

彩の国シェイクスピア・シリーズ第32弾 『尺には尺を』

のん気にパンフレット買って客席に入ると、舞台上に人、すでに何か始まっている。ああっ、損した気持ち、袖から大きなセットの背中がのぞき、赤いコーンが3つ置かれている。 「何かは始まっているけど、何かは始まっていない」不思議な景色だ。柔軟体操する…

丸の内ピカデリー 『海よりもまだ深く』

作家志望の良多(阿部寛)。15年前に新人賞を取ったが、そのあとが続かず、取材と称して、興信所にずっと勤めている。妻響子(真木よう子)は息子(真悟=吉澤太陽)を連れて去った。ギャンブルにふけったり、母の住む団地の家で金に換えられそうなものをこ…