2016-03-01から1ヶ月間の記事一覧
「今年私の見る島の生活は一層暗黒である。太陽は滅多に照らず。来る日も来る日も、冷い西南の風は霰交りの時雨や厚い雲の群を伴って、斷崖を越えて吹き荒ぶ。」(『アラン島』シング 1907 姉崎正見訳 岩波文庫) そんなとこでの1934年、隣の島にハリウッド…
いるけどいない。野村(風間杜夫)の妻雪子(小泉今日子)のうっすらした非現実感、不在感。夫と話しているときも、義理の娘かすみ(小野ゆり子)と思い出話をするときも、何だか少し、中空にういているみたい。その非現実感は、パソコンに話しかけるところ…
『焼肉ドラゴン』、一度目はテレビ、再演は観に行って、今日は三度目。在日韓国人の人々が、違法に住んでいる関西の町。そのバラックの立ち並ぶ一角に、「ホルモン」の看板を掲げたドラゴンはある。高度成長期の日本を背景に、店を営む一家の哀歓を描く。 家…
プロジェクターで映し出された白柿黒色の中村座の定式(じょうしき)幕。客席の人の頭が遮ると、影になって消えてしまう。幻の幕。幻の芝居。 幕が開くとリーマンショックを語る映像、いろんな人が大きな損失を出す。鮮やかな映像はすっと消えて、そこは歓楽…
食後のコーヒーを飲んでいたら、目の前に風が起こって、すてきなブルーのワンピースが通り過ぎる。リアノン・ギデンズ。はじまる!追いつけない。ちょっと待って。舞台ではもう、リアノンがバンジョーを抱え、親指で弦を弾(はじ)いてる。走った後の搏動の…
ワークインプログレス。なんだろ。9月の本公演に向けて、作業の過程を見せる公演。本公演は、「妊娠」や「いま、子どもを産むということ。」についての芝居のようだ。揃いの白い運動靴をはいた俳優たちが、丸い輪の形に置かれた本を読む。 石川達三。妊すぐ…
押して引いて、押して引いて、さし引きする潮みたいに、寄せては返す波みたいに、芝居は生き物だ。 古田新太は引く芝居が上手。昔、NHKの大河で商人やった時は、じれったくなるほど引いていた。引く芝居ができるから、ばーんと押す芝居がいいのだ。膂力を感…
気づくと舞台に次々に人が現れ、鍛えた上腕二頭筋をちょっと見せて、笑いを取ったりしながら位置につく。 筋肉に興味のあったためしなし、だからミシマがよくわからないのかも。舞台の壁が9分割され、うっすらとひしめき合う人々が浮き彫りになっているのを…