ビルボードライブ東京 スクイーズ

I’D FORGOTTEN

HOW MUCH I LIKE SQUEEZE

と、大きく書かれたおしゃれな水色と黄色のロゴTシャツ。笑いました。1973年に結成されたスクイーズは、77年にレコードデビューしたイギリスのバンドだ。解散したり、再結成したりしながら今日まで続く。

 ポップでキュート。なんか愛嬌があるのだ。そして独自の節と編曲。他にない。グレン・ティルブルックの声の明るさが、一瞬ごとに失われていく「ポップというもの」を体現している。ポップって、水の上に書いた字のようだよね。ずっと書き続けなければ、消えてしまうのだ。その明るさとかなしさを、スクイーズを聴くと感じる。

 4月26日火曜日ビルボード東京。席に着くと、眼の中いっぱいに広がる舞台背面の大きなガラス窓、遠く公園の芝生とモニュメントが見え、高層ビルの灯りが、刻々とくっきりしてくる。水色から薄墨色に変わる空、暗くなるとビルボード東京内の様子が鏡となったガラスに暖かな黄色で映し出される。音楽ファンの一大バンケットだ。幻想の東京がいまここに!と、黒い幕がするすると閉まり、二階後方下手の出入り口から、バンドのメンバーが登場する。マンドリンウクレレやピアニカを手に、もう演奏は始まっているのだった。Hourglass。途中で素早く楽器が持ち替えられ、大音量になる。バンドだよー。スクイーズだー。グレン・ティルブルックの単独来日ライブのとき、ギター一本でもこんなにすごいのに、スクイーズになったらどうなるのだろうと思っていたが、考える余地のない迫力。そして矢継早、すぐに次の曲が始まる。それでもつい、いつもなら考えようとしてしまう自分なのだが、中盤の白熱したPulling Mussels(From The Shell)で脳を放棄。椅子の上で飛び跳ねる。ほんとにもう、どんなにスクイーズが好きだか忘れちゃってたなあ。