新橋演舞場 熱海五郎一座 新橋演舞場シリーズ第10回記念公演 『スマイル フォーエバー ~ちょいワル淑女と愛の魔法~』

 2回目。前説の東貴博のフジイ8段が、似なくなっている。おもしろくない。客を笑わせながら自分も面白がるってことが、どれだけ難しいかを目の当たりにする。10回目/30回でもう飽きたのか。東貴博はずいぶん見せない苦労をしてここまで来た人だと思うが、している工夫が、「そこじゃない」。フジイ8段を奔放にやって、やりっぱなしに放置しているのは、懸垂で、あと階段半分くらい頭を上に出す力と集中が足りないと思う。要領で登れる場所もあるが、そうでない場所もあるだろ。50代過ぎたら60、70、あっという間だよ。前説もっと大切に。一回が寿命の一年だと思いなよ。それは伊東四朗も同じ。集中きらさない。台詞が初日と比べ、ふかふかしていた。

 ここ数年熱海五郎一座を観ているわけだが、今年が一番ストーリーに優れ、ギャグも決まっている。この、さあこれからという時に、鎖みたいに一座を引き留めるのが、「高齢化」の問題だ。「たちまわり」、「ダンス」を若手に任せ、前に進もうとしても、「長台詞」「声嗄れ」などトラブルは後を絶たない。今年の芝居ではキャラと設定の妙で渡辺正行が生きているが、もうコーラは飲んではいけない。高齢化を逆手にとって、老人の「影の軍団」みたいになったらどうか。まー、世代の分断とか言ってよくないのかもしれないが、「老いを知らない悪者」相手に戦えば?老人がクレーマーなどになるのは、虐げられることに慣れてない、耐性がないからだ。そうだろう、誰だって虐げられる耐性などもともと持ってない。突如虐げられる側になるおどろきや、蔑視してくる世の中と、正義の老人として相渡ったらいいんじゃない?伊東四朗はぴったりの人選だったのに、そこらへんが浅彫りだった。

 今日は三宅裕司が台詞をかんだ。劇団の父性の象徴なんだから、そこはちゃんとやってほしい。ラサール石井今日の方が台詞はっきりしていた。松下由樹、歌舞伎の見得しっかり。まずYouTubeで何度も見てイメージトレーニングして。俳優、言われたことはできなきゃいけません。ダンボールノドア校長(山城屋理紗)、これ凄くいい役なんだよ。自分のように芝居する。どこかで観たことあるアニメ声の美女なんか演じてはいけない。これ若手みんなに言えること。