下北沢 駅前劇場 綾田俊樹・ベンガルによる綾ベン企画vol.14 『川のほとりで3賢人』

 綾ベン企画vol.14『川のほとりで3賢人』、前売り・当日4500円、初日と二日目16:00のみ特別料金4000円。

 公演の前半、割引する若手劇団は多い。たぶん、芝居が固まってなかったりするからだろう。今回のこの割引は?

 …かたまってなかったね。全篇、味でなんとかしてたね。それは広岡由里子の言わねばならぬ硬い長い台詞に、早めにベンガルが割って入る(助けてた)のからもわかる。

 上等のスパゲッティ(デュラム小麦のセモリナ粉)で、ゆでてもふきこぼれず、茹でたお湯で出汁になる程おいしいのに、麺がなぜかぽきぽき短く折れている。

 広岡由里子の福祉課主任馬場マチコは、とても難しい役だ。最初から最後までだれなのあんた!?と観客に思わせなくちゃいけないし、主任らしくもしなくちゃいけないし、独り言も言わなくちゃならない。そのなかで、うっすらしたホームレスへの蔑みのさじ加減が絶妙だった。けど、ぽきぽき折れているのだ。食感がわるい。なめらかさが欲しい。台詞をもっとしっかり入れて。

 京本(綾田俊樹)と二本松(ベンガル)が、「時間がたつのは早いなあ…」と顧みるシーン、喧嘩をするシーン、打ち明け話をするシーン、重すぎず軽すぎず、とてもいい。けれど思い返してみると、シーンの繋がりが粗い。ぽきんと音がしそう。これは作家に責任がある。

 川のほとりに住む二人のホームレスのところへ、福祉課の女が訪ねてくるという話に、突飛なエピソードが絡んでくる。蛇のとこがシュールなのに(あんまり笑えない)、バンドエイドは普通でつまらない。俳優もその辺の調整が大変だろうとおもう。