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IHIステージアラウンド東京 ONWARD presents 『劇団新感線 髑髏城の七人 season 花』 

 「いい席だねー。」「ほんと、いい席だー。」

 私の一列前の人が、ほかの席から様子を見に来た友達に、口々に羨ましがられている。確かに、いい席。天魔王の見る「整った」満月は半分見切れてしまうけど、俳優さんの姿もよく見え、何より、端で劇場が「廻っている」のを体感できる。見上げる天井が、なるほど丸い。私たちは円の内側にいる。グレーの湾曲したスクリーンが天井と同心円に舞台を閉め切っている。スクリーンはほぼ90°で一旦切れ、別のスクリーンがそれに連なる。このスクリーンが開き、客席の下から動力音がして、開いた正面まで私たちを運んでいく。(ま、まわってる?)広く開く場面もあれば、それほど開かない場面もある。開口部が小さい時には、両側のスクリーンに、城や家や、さびしく夢のように揺れる荒地の花が映っている。要するに暗転のない舞台なのだ。スクリーンと客席の間の、円形の通路(廻り花道って感じ?)を、髑髏党の鉄機兵や、血路を切り開く「髑髏城の七人」が駆け抜ける。ダイナミック、だけど残念なことには、セリフがぱりっと聞きとれないのである。9割がたの、亡霊みたいな芝居を3時間追いかけなければならない。尻上がりに面白くなるからいいけど、いいセリフがもったいない。例外的に古田新太のセリフは聞きとれるので、何か工夫しているのかなと思った。

 天魔王の成河が飛びぬけて迫力がある。本の中の本、飛び出す絵本を読んでいるみたいだ。大仰で極端、この劇場が破格なのに足並みをそろえていてぴったりだ。蘭兵衛(山本耕史)と捨之介(小栗旬)のトラウマに毒を注ぎ込む。山本耕史、心変わりにとても説得力があるが、捨之介、兵庫(青木崇高)ともどももっと極端でお願いします。いつもの「演劇」と、違う感じで。小栗旬がカーテンコールで去っていく後姿が、「きゃあああ」って感じで捨之介でした。