2014-03-01から1ヶ月間の記事一覧

大田区民ホールアプリコ 『熱き心で突っ走れ!』 第一部お芝居 第二部歌謡ショー

つよい風が吹いているけど、咲きたての桜は散る様子がない。今日は小林旭を観に行く日。昭和の映画スター。歌手でもある。 正直に言うと、私には日活の小林旭が、よくわからなかったのである。渡り鳥シリーズをちら見しても、見どころがわからず、日活ファン…

homspun(ホームスパン)刊  『TSUTSUI'S STANDARD――筒井さんの子ども服――』

表紙が映画みたいだ。クロス装のざらりとした手触り、空色に濃いピンクの小花模様がひろがり、一番下の白いレースと、それを縫い付けたミシン目で、服の一部だとわかる。 服の左下からぼんやり明かりが当たって、表紙の半分がほの明るい。中央に小さく、控え…

世田谷パブリックシアター 『杉本文楽 曾根崎心中 付り観音廻り』

デリケートな闇だった。次第次第に、観客席の上に降りてくる、生きもののような闇だ。二階席から舞台を覗きこみながら、(いま、闇というものを見ているなー)と実感する。明度の落ちかたがうつくしい。柝の音、上手から、そして下手から経を読む低い声がし…

世田谷パブリックシアター 『神なき国の騎士――あるいは、何がドン・キホーテにそうさせたのか?』

『ドン・キホーテ』は狂気の壮大なグラデーションのような本だ。その冒険は前後篇文庫にして六巻に及ぶ。川村毅はこの本とジャン・ジュネの『判決』を参考に、『神なき国の騎士』を書いたといっている。むずかしい。特に『判決』。世界の「闇」とそこでの判…

パルコ劇場 『国民の映画』

ヒトラーは960平米の執務室を欲しがった、ということを思い出しながら広壮な邸宅の一階のセットを眺める。ゲッベルズ(小日向文世)の家だ。大きいのに貧寒としている。一階なのに地下室みたいだ。第三帝国の文化を統括する彼は、今日パーティーを開こう…

集英社 『樋口可南子の いいものを、すこし。その3』

それなりに選んだオイルヒーターに、ジャージとタオルが干されてる。気に入って買ったひざ掛けが、たたまれていない。テーブルに、頭痛薬と、朝つかった粉引の唐津湯呑がだしっぱなし。気が弱る。ただ、息して、座っているだけなのに、なんか澱のように散ら…