TOHOシネマズ日本橋 『コンフィデンスマンJP プリンセス編』

 『マスカレードホテル』に次ぐ怪作。フジテレビってさー、いっつもこんな映画作っているの。こんな映画でも、現場のスタッフと、現場の役者ががんばってて、会社もお金持ちだから、少々の駄作は気にならないの。わたしは仰天したよ。

 ランカウィに行くお金があったら、ビビアン・スーのヘアスタイルにお金を掛けろ。江口洋介が「面白くなってきた」と笑う所で、CM入るかと思った。

 役者が自分の心に、全く接触しないでつるつると進行する。テレビドラマの現場が、どんなに苛酷かが透けて見える。こまごま心を砕いていたら、身がもたないのだろう。中でもひどいのは天才恋愛詐欺師ジェシー三浦春馬)とヒロインのダー子(長澤まさみ)のダンスシーンだ。三浦の体にきちんとダンスが入っているのに、カメラと監督は「お尻の少し下」という変な位置で、茫然とダンスを見送る。「かっこよく撮る」ということをあきらめていて、考えようともしない(現場にお任せ)から、三浦はばかみたいに映っている。ひどい。

 詐欺師のダー子がコックリ(関水渚)に「自分の心配をしなさい」というシーンと、感謝されるところ、これは長澤の数少ない芝居出来るシーンなのに、彼女は何もしない。どうした。コックリは顎をわななかせて泣くシーンで映画中随一のリアリティ。心に響く。しかし、スピーチのあとの「おや?」という表情がよくない。東出昌大の「死んじゃうじゃないか!」という台詞も心に接地してない。この映画でよかったのは、一瞬出るGACKT広末涼子のラーメン屋の女将だ。今まで見た広末涼子の中でサイコー。ある場面で両手を左右に大きく広げた長澤まさみがかっこいい。(ここだけ演出されてる…)と心に呟いた。