MANDOLIN 『FROM THE REHEARSAL ROOM:TOKYO』②

 ラミン・カリムルーとハドリー・フレイザーが、東京のリハーサルルームから配信で歌を届ける第二部。

 最初の一曲目は『ラ・マンチャの男』から「The Impossible Dream」をデュエットした。かわるがわる歌い、[ And I know…] から高音をハドリーが、主旋律をラミンが歌う。高音のファルセットは美しく、主旋律は力強い。何より大仰じゃない。フランク・シナトラのバージョンとか、荘重だもん。きちんと今風。二人でハモるとき、一つの声が、きれいに二つに裂け、離れていくように聴こえる。

 仲のいいミュージカルスターでも、その役へのアプローチは全然違う。ハドリー・フレイザーは、役柄の場所まで行き、「その人」と化す。そのことは次に歌った「Again」でよくわかる。目の前にいる女の人を愛していて、君の恋人はラッキーだねなどというのだが、思いが抑えられない。でもナイスに振る舞おうとする男、になりきっている。これに対してラミン・カリムルーは自分の方へ役をよびこむ。どちらがいいとか言えない。役の作り方が違う。ラミン・カリムルー、途中段取り忘れちゃってた、気を付けてほしい。

 先週歌った『レ・ミゼラブル』の「Stars」を、今度はラミンが歌い、「Bring him home」をハドリーが歌う。ハドリーが歌うと暗がりに光るものの輪郭がはっきりし、ラミンが歌うと深くやわらかい闇が見える。ハドリーの「Bring him home」に清らかな光を感じる。ラミンが譜が読めないとさらっと言ってて、そうだこの人独学でここまで来たんだなあとwikiを思い出す。すごい人だなあ。すごく感心してたのに、「ハッシャバイマウンテン」、途中二人の歌いだしがずれてたよ。しっかりね。途中、雑談みたいにバランスが大切と二人とも言っていた。わたしすんごいバランス悪いんだけど、どうしましょう。