2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧
さ最前列。人見知りの心の蓋がゆっくり閉じるのを感じるくらい舞台に近い。近すぎる。最前列で芝居を観たのは何十年も前、状況劇場だったなあと思いだす。同時に、流山児祥の芝居を観たのも、そのくらい昔だ。深浦加奈子がめっちゃきれいで、炎の中を車が走…
会社。 「目先の利益だけ」「やってることがえげつなくて」いま、こうして字を書いている喫茶店の隣のテーブルで、OLが二人、会社の噂話をしている。タイムリー。好景気があり、不況があり、バブルが来て、パソコンが普及した。しかし会社は変わったか。確か…
観ている間じゅう、「恋愛は、人生の花であります。」と、思う。 ジェリー(田中哲司)とエマ(松雪泰子)は、別れようとしている。ジェリーにはジュ―ディスという医師の妻、エマには出版社社長の夫ロバート(長塚圭史)がある。アパートを借りて続いた七年…
泣く。この映画を見て、もちろん私は泣いたのだ。ラスト近く、『アルハンブラ宮殿の思い出』が聴こえるシーンで。 でもさ、泣いたからって、好きな映画なのか。 12歳の佐々木杏奈(声:高月彩良)は、喘息もちで、心に屈託がある。大きくなるにつれ、段々に…
アール・ヌーボー調のランプ、モンドリアン風に区切られた舞台セット。中には、毛糸をかごから、ポケットから取り出して各々の人生のように編み進む人々。 クレアモントホテルは、セットの継ぎ目の仕上がり具合が、すこしでこぼこして「惜しい」感じに作られ…
狭い。舞台は、ことさら狭く設えられている。圧迫感。二重の上に机、上手に迫る壁の、小さな明かりとりの窓には鉄格子がある。窓からぼんやり斜めに光がさし、机と椅子がかろうじて見分けられる。暗さに目が慣れると、机を囲んで三脚の椅子があることが分か…
赤身の肉とブロッコリ、唐沢寿明は撮影中、体を作るためにそればかり食べていたのだそうだ。 街のショーウィンドーで、難しい色合わせの服、流行の先端の服を見ると、「カラサワくんの服だね」と呟く癖が、私にはあった。唐沢寿明は四肢が長く、腰が細く、顔…
20年ぶりに故郷に帰る男(段田安則)。男は妻(宮沢りえ)を伴っている。バス停を尋ねるために入った床屋で、なぜか女主人(大竹しのぶ)が男の姉だと名乗り、ひずんだ世界が空間を覆う。 観ながら、何事もなく田舎に帰る二人を想像した。これは、いわば鏡を…
訛りがひどくて聞き取れない、そんなこと、今の日本でありえない。けど、濱口祐自を見ていると、さようしからばの侍言葉でないと、他国のものと意思疎通できなかったという幕末のことなど思い浮かべてしまうのであった。 ゆっくりうねる、紀州勝浦のイントネ…
悪魔にたましい売ってゲーム終了。 それが私の一度きりのゲーム体験です。 アフタートークで(ゲスト:せきしろ、バッファロー吾郎A ヨーロッパ企画:上田誠、石田剛太、酒井善史)、『ビルのゲーツ』はゲームの感じなのだと繰り返し言われていて、果たして…
「世界の中ではすべてはあるがままにある」ウィトゲンシュタイン。 ウィトゲンシュタインに全然不案内。ウィキペディアと新書で、変わった人だったらしいその波乱の一生をさらっと追った。世紀末オーストリア出身の思想家、ケンブリッジ大学の哲学の教授。鬱…