2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧
「わかりました」 右手で胸を静かになでおろす。本当にわかった感じがする。わかった内容が胸に収まって、一瞬きらっとするみたいだ。西川浩幸の手話には説得力があった。 西川浩幸は2011年左前頭葉皮質梗塞で倒れ、「連続して喋ろうとすると違う音が出る」…
天球模型のように下がる電球、斜めにつられた蛍光灯、モニターが二面。中央に丸い大きな球の照明、その下に机が二つ寄せておいてある。それを遠くから囲む8脚の椅子、ゆりかごが一つ。これらすべてが8角形の「ケージ」に入れられている。「内側」という名の…
エルヴィス・コステロが選んだ500枚のアルバムのリストを、スウェーデン人の人にもらい、大切にしていた。買ったCDには薄く鉛筆で丸印つけたりして。まだ持ってるよ。 今日はコステロの『DETOUR』 コンサート。DETOURとは、迂回路、回り道のことだって。30分…
舞台は一面の白い砂だ。 砂にめりこむ足。踏みしめても足元が崩れる。その足跡。(その疲労。)それははっきりと、シンプルに目に示される、苦しみの重力だ。 久我五郎(田中哲司)の妻美緒(原田夏希)は、貧しい人たちの託児所を設立するために精根使い果…
むずかしいと思っていた。16歳の高校生洋子(萩原みのり)が仁義を切る冒頭シーンである。なんか時代錯誤(アナクロ)だし、リアリティがないじゃん。 ところが、おひかえなすって につづくセリフを聴いていると、「今16歳の少女」の今しか出せない気分が流…