2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉 『アーリントン [ラブ・ストーリー]』

「管理する者」と「される者」、「監視する者」と「される者」に二分化された世界。分断が最高度に進み、ここには強者と弱者しかいないのだ。 アイーラ(南沢奈央)はその弱者側だ。ずっと監禁されていて、自分の年齢すらもわからない。彼女は従順に、何か恐…

東京現代美術館 『石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか』

胸に沁む落ち着いたトーンで、石岡瑛子の声が会場に降ってくる。「…デザイナーがかっこいいっていうものを見てみるとなんかツルツルピカピカ、表層的にただきれいなだけで中身はからっぽみたいに見えるんですよ。」血の出る思いでデザインしてきた石岡瑛子の…

本多劇場 『東京原子核クラブ』

ひとりひとりの芝居が、飛び出す絵本みたいに、開いた途端、こちらの手を圧して扇形に広がる。ぎっしりだ。 特に、東大野球部エチオピア文学専攻の橋場大吉(大村わたる)が、野球部の友人林田(石川湖太郎)に頭を下げるシーンでの大村の芝居の精度はすばら…

東京芸術劇場 シアターイースト 二兎社公演44 『ザ・空気 ver.3 そして彼は去った…』

私と同世代の人、上の人、下の人、皆、学校で勇気を問われたことはないだろう。そんな世の中だった。勇気がなくても生きてきた。勇気がなくても生きていける。忖度忖度とみんなが言うけれど、問題の核心は忖度なんかじゃない。勇気である。勇気というと蛮勇…