TOHOシネマズ日比谷 『スイート・マイホーム』

 おもしろいじゃないの!と感心するのだった。斎藤工ってすごいね、どこからどう来てどうなった人なの?とか、そらこれだったら福山雅治出資するやろ、とか思った。後半、ものすごく面白い。手に汗握る。意外な展開。そして怖い。夫(窪田正孝)は妻(蓮佛美沙子)と相談のうえ、家を建てる。その家ではなんだか奇妙なことが起きる。夫はだんだん追い詰められていく。長野がめちゃくちゃ寒そうで、主人公清沢賢二(窪田)が買った家は暖かそうで、窪田正孝はスポーツインストラクターがとても似合ってる。

 これさ、男の人がたくさん作ってきた「女の人嫌い」の映画だよね。窪田を襲う人、その逆も、実はどの人、誰でも構わない。「見分けのつかないひとたち」についての映画じゃないの?にしては、母(根岸季衣)の描写が平凡で、そのうえ、根岸の芝居がよいために、そのアップの映像は映画の中で抜きんでてしまっている。なのに父の虐待、その虐待から守ってくれなかった母への感情が欠落してる。故意??

 田舎に家を建て、奇妙な現象に襲われるインストラクターの賢二、心を病んで引きこもっているその兄聡(窪塚洋介)、映り方が「浅い」。深い存在感がない。狂気の悲しみもなければ、浮気の罪悪感もない。たいくつ。後半残り45分に差し掛かるまでの映像が、安っぽい。アパートの建物にカメラが寄るとこ、そして蜘蛛の巣が映るとこ、ちょっと、頭で撮りすぎじゃないの。蜘蛛の巣とか。

いま、この瞬間観ている画面に力がない。「撮ってやる!」と思ってないと、俳優も力が出ないんだなあと感じた。

 子供(磯村アメリ)がとても窪田になついていて、自由にふるまっており、そこがとてもいい。画面の自由度をあげている。

 でもさ、前半映像観てて楽しくないのだ。画の力で満たされない。そこなんとかしてほしい。あと、最後の落ちには全く納得いかない。この映画ぜんぶ否定してしまうくらいな落ちでした。つまり苦手さ。