2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧
なんでもかんでもすーらすらと口に出し、なんでもかんでも説明し、要するにすごく口の立つ自分が、この映画のことは身内に説明できない。話し始めたら泣きそうでかっこ悪い。映画の中で起きたことが、うまくことばにならない。ラジオでこの映画のことを「説…
ロロ、成長していた。そりゃあ以前観たのは2016年だったもんねー。昔は言えてなかった詩的な台詞をちゃんと一旦体に取り込んでいる。「あなた」と「わたし」、「樹木」と「電信柱」、「過去」と「未来」が、平気で入り混じる混沌とした世界をきちんと演じ分…
拮抗する世界。最初アントニーはリゾートのような「私」(わたくし)の楽園エジプトと、灰色のビジネスマン、暗い軍服の「公」(おおやけ)の世界をうまく操ってバランスを保ち生きる。公私の別みたいだね。 でもちょっと待って、リゾートなの?アジアを侵食…
空梅雨、平日の昼過ぎ、天神をちらちら行きかう夏の白っぽい服装の人々を見ていると、気づくことがある。「今年の流行」を身につけている人が少ない。一度水をくぐった「去年の服」「おととしの服」ばかりだ。目まいのように、一年前、二年前、三年前の夏へ…
「ここは…違うよ」 一斉におもちゃのヅラをかぶる30代の女性グループを見ていきなり後ずさる。今日後楽園は大賑わい、人気のライブや遊園地や野球でごった返している。ようやくたどり着いたTOKYO DOME CITY HALLはアリーナと、上品にくっついた二階席、そし…
「10月革命が成就するロシアの歴史的な夜である。と、走ってくる少年、15歳のイヴァン・レオニドフ。人ごみにまかれ戸惑っているらしき少女オリガを発見し、叫ぶ。 イヴァン オリガ! 」 言えてねー。オリガ(きなり)が見えてないし、実体もない。愛がない。…
聴こえてくるものすべてが節。チャイーンチャイーンと鳴る鐃鈸(?)、カカカカと聴こえる小さな平置きの太鼓(たぶん)、銅鑼、どれも声だ。(ついでにいうと、どうして1500円のパンフレットに、楽器の紹介がないのか?挨拶文で優に6ページって驚きだし、こ…
カチカチとフィルムの回る音がして映画が映し出され、ヒロインのハルコ(緒川たまき)が登場し、刻々と変わる心情を全身で生きる。妹ミチル(ともさかりえ)が謝りに来たと知ると色つきの足袋をはいた足は踊り、夫電二郎(三上市朗)の浮気に棒立ちのカラダ…
前説はフリップを持つ官房長官のギャグ。答えたくないことはスルーする間合いが巧く、東貴博は生き生きとやっている。だが、そこに女性記者の姿はない。あー、ここがめざす「昭和の茶の間」(パンフレットの作者挨拶より)って意味?エッジィなところに突っ込…
地に足ついてる。それが面白さと、侘しさの源泉だ。 だってさ、舞台いっぱいに建てこまれた老舗の劇団の稽古場が、それ以上でもそれ以下でもなくリアル、天井まで三つに区切って縦に貼られた羽目板が、昭和中期を思わせて、本当に貧しく質素。力の弱そうなク…
君は夜の銀座を見たことがあるか。夕方タクシーがばたんばたんときれいに髪を結い上げた女たちを路上に吐き出し、七時半にもなるとその女たちと食事した客が、得意満面で「同伴」してバァに向かう。目線をどこにやってもきれいな女の人とおじさんしかいない…
この映画の中でワーストと言える嫌な奴は、画面にちょこっと現れるだけのリンゲル自由ドイツ青年団秘書(ダニエル・クラウス)であるような気がした。「二分間の黙とう」を見過ごさず、上に報告して事を大きくする。高校生に話を訊くのに、仲間割れを狙って…
ナイジェル・ホーソーンの『英国万歳!』、ああ観た観たと思うのに、思い出そうとしても、走るホーソーンを全力疾走でおつきの人が追うシーンしか出てこない。それは宮廷中が輪になって王様を囲み、宮廷ごと走って移動してるように見えたなあ。 ジョージ三世…
星新一の黙示録。 日本の本を読む子供なら、小学生の時に一度は読んでいる軽い星新一の、重い背骨を成すような作品がオムニバスで六篇続く。暗い作家だなあ星新一。結構楽しく読んで、すーと忘れてしまったことを申し訳なく思った。 舞台はぴかぴかと反射す…
ごめんよブラッド・メルダウ。こんなに有名かつ人気とは知らず。と当日券を求める長蛇の列にあやまるのだった。しかも今日が今日まで、ブラッド・メルダウがジャズとも知らず。ジャズか。20代のある日、知り合いにジャズのチケットを貰った。ものすごく素…