2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

東京芸術劇場シアターウェスト 劇団青年座 第246回公演 『ある王妃の死』

角が舞台の中央に来る、鳥かごのような華奢な部屋。部屋と外を仕切る建具の模様が、いかにも韓国風で、複雑かつシンプル。きれい。縁が鈍い金色に貼られ、角に向かって、非現実的に下がっており、それがなんだか間仕切りを、部屋の中の「心臓」を守る胸骨の…

吉祥寺シアター 劇壇ガルバ『ザ・プライス』

警官のビクター(堀文明)が昇り階段の欄干に手をついて妻エスター(高田聖子)を待っているとき、(あれ?)と思うのだ。欄干に掌をぺったりつけて体を支えない。高さの都合でビクターは指先だけを手すりに預ける。なんかちょっと変。ちょっと奇妙。その無…

東京芸術劇場 プレイハウス 『hana-1970、コザが燃えた日-』

「勧善懲悪」「正義」の裏には矛盾と混沌が貼りついてる。77年前の戦争を悼んでも、焼夷弾の落ちてこない、機銃掃射されない日常の、日々のゲームの中で敵は死に、孤独な者が他人を刺す。戦争は死なない、息づき、うごめき、いつも「いま」の隣にある。その…

TOHOシネマズ渋谷 『スパイダーマン ノー・ウェイ・ホーム』

ふふーん。いまこんななってんのかスパイダーマン。感心しながら目の前のトム・ホランドのスパイダーマンが、身元をばらされドローン攻撃したと非難され、MJ(ゼンデイヤ)を抱えて家に帰り着くまで、私も頭の中で忙しく走る。私、最初期の二作しか観てない…

俳優座5階稽古場 俳優座『カミノヒダリテ』

どこで見つけたこの戯曲!…というわけで、戯曲がすごく面白かった。そして観ながら、(これほんとに俳優座?)と何回も自分に訊いたのであった。 どことなく笑える過激なセックスを示すシーンと、強烈に痛い自らを罰するシーン、怖すぎる!痛すぎる!と思うけど…

東京芸術劇場シアターイースト モダンスイマーズ 『だからビリーは東京で』

もちろん、泣いたよ。コロナの時代のリアル。自転車のペダルを漕いで街を行く石田凜太朗(名村辰)は、まだ一度も舞台に立ったことのない役者志望の若者である。その凛太朗が劇団「ヨルノハテ」に入り、声の小さい作・演出の能美洋一(津村知与支)に駄目だ…

Bunkamuraザ・ミュージアム 『ザ・フィンランドデザイン展』

北欧の森には白樺やトウヒが生え、木々を通して斜めに白い陽射しが地衣類の上に丸く落ち、道を歩くものになにか波動を送ってるみたいである。フィンランドの人口は福岡県と同じくらい、けど国土は日本と変わらない広さだ。人が少ない。森が近い。 1917年にロ…

桑田佳祐LIVE TOUR 2021「BIG MOUTH,NO GUTS」オンライン特別追加公演

人がたくさんで、怖い。一万人もの人が整然と、おせちのようにぎゅっと詰まってる。さいたまスーパーアリーナ。桑田佳祐も、この圧倒的な人数に、怖くなることあるだろか。 エルガーの行進曲『威風堂々』がさらっとかかって、ミュージシャンがステージに上が…