I'M A SHOW 朗読劇 『あの空を。』 別バージョン

 はーい、『あの空を。』別メンバーで、もういちど。一言で言って、今日の人たちは、最初から集中していた。初日メンバーは、初日だということでなにかと気が散ったのか、中盤まで集中が今一つだったのと、ボールとか本物握らせてもらえなかったんだよね。今日のキャプテンヒロト、松本旭平とか、冒頭、集中と緊張で、額が青白くなっていたもん。脚本と俳優の距離が近く、話の筋がよく分かった。3,11で友人を失った(そっとデリケートに触れられる)3人の幼馴染たちが、2020年の夏の甲子園を目指して奮闘するが、その望みは叶わない。コロナで大会が中止になったからである。お調子者のムードメーカーマツオ(小松準也―大事な台詞大間違いしていた)、マネージャーのテルテル(伊崎龍次郎)のキャラははっきりしてんだけど、ヒロト、もひとつ違いがはっきりしない。台本のせいもある。キャプテンらしく腰据えたほうがいい。けど、さいごに逃げようとするマツオに掛ける言葉がすごくかっこいい、ここ、芝居のへそ。ちゃんとへそになってる。よくできた。マツオの「どうして俺はこうなっちゃったんだよ」もよくて、この芝居をきちんと成り立たせている。テルテル、控えめキャラにトーン変えてもいいかもしれない。小出恵介の語りは、力を入れずさらっとしているが、言葉がきちんと粒だって聞こえる。けど二か所ごまかしたね。しっかりね、夜の部。

 あと、「じいちゃん」のパートと、無茶ぶりの遊びは、やっぱりすごく拙い。あんまり時間とっちゃダメ、本筋じゃないからさ。ヒロト、振られてから演じるまでの助走長すぎる。さっとやらなきゃ、時間は生き物だよ。それと、全然似てない、あっ俺ダメだったという自分の判断、これ以上押してもまずいだけと切り上げるその場での『知』がたらん。そしてそれをきちんと観せる。これ大事。知性がないと俳優は生き抜いていけないと蜷川さんが言っていたよ。それから「ファンの客席」をまきこんだって無駄、ファンはなんでも喜んでくれるんだから、拍手してもらったりしても、章魚が足食べてるみたいなもんだ。栄養にならない。

 なんだか同時に打ち上げられた3発のロケット花火みたいだった、にぎやかで明るく、まっすぐ飛んだり迷走したり、消えてしまうと寂しくて余韻が残る。ほめすぎだね。