2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

シアタートラム 劇団チョコレートケーキ 『ブラウン管より愛をこめて ー宇宙人と異邦人ー 』

今日、この芝居初日。特撮ヒーロー番組を作っている「東特プロ」の制作、岸本次郎(林竜三)の第一声が、「東特プロの世界」を召喚するのに失敗してました。ここからしばらく、芝居がすんごいぎこちなかった。それは衣装のせいもある。80年代後半から90…

座・高円寺 チーズtheater第七回本公演『ある風景』

チケット売り場前の、小さいお知らせ看板に、びんびん反響するスタッフの声を聴いた時から、悪い予感はしていた。この演出の人、聴覚に繊細さを欠く。さーさーという音は「雨」ではなく、「雨の体(てい)」だったし、俳優が舞台から姿を消しているとき聞こ…

新橋演舞場 熱海五郎一座新橋演舞場シリーズ第9弾 『幕末ドラゴン クセ強オンナと時をかけない男たち』

まず、「とにかく明るい安村 安心してください」で検索。そこからだよ。なんにも知らないんだもん私。イギリスの人と一緒。 幕が開いてからの坂本龍馬(東貴博)の台詞が、おりょう(檀れい)のことを言っているのか、それともうっすらした未来の記憶なのか…

歌舞伎座 『六月大歌舞伎』義経千本桜

今日の仁左衛門は、「いがみの権太」。ゆすりたかりで日銭を稼ぐ小悪党だ。でも黙阿弥みたいなピカレスクロマンではない。「いがみの権太」を家庭生活から照射する、ちょっと変則な、江戸時代の作品じゃないみたいな役なのだ。つまり、仁左衛門が、この役を…

東京芸術劇場プレイハウス NODA・MAP第26回公演 『兎、波を走る』

雲散霧消。人物の一人一人、出来事の一つ一つが、VRを覗くのをやめた人みたいに(のぞいたことはないのだった…)全部消えてしまう。 すべてはヴァーチャルだ。ということは、実は、すべてが現実なのかもしれない。1960年代、盛り上がった「つよがり、思…

博多座 『六月博多座大歌舞伎』2023 夜の部

船乗り込みは大盛況だったと聞くのに、水曜夜の博多座客席はちょっと寂しい。福岡の人、わかっとうかなー。東京と福岡は、1000キロ離れている。1000キロ離れたところで歌舞伎が2週間興行する。すごくない?お金のある役所の偉い人とか、全員こなきゃダメでし…

新国立劇場小劇場 シリーズ未来につなぐもの 『楽園』 

うちの近所のお地蔵さんに頭を下げる人が年々増えてるのを見るにつけ、なんだろ、目には見えないもやもやした網、「従順」や「奉仕」をひたひたと要求してくるものを感じてひゃあーとビビっているのだが、いまのところだれもそれを気にしてないみたい。たと…

アマゾンプライム 東映創立70周年記念作品 『THE LEGEND &BUTTERFLY レジェンド&バタフライ』

木村拓哉、『ター』観たかなあ。ケイト・ブランシェットの、総身を「ター」に捧げる役作り、冒頭、ただ出番を待ってるだけなのに、緊張した顔つきが様々に変わるとことか凄いよね。あんまり顔を他人から注視されていると――アイドルってそうだと思うけど――人…

明治座 『水谷千重子50周年記念公演 大江戸混戦物語 NINJAR ZONE』

「水谷千重子50周年記念公演」のパンフレットの最初のご挨拶は、「水谷とたった二人で創業した」社長のそれから始まり、正体を匂わしたり決してしない。「水谷千重子を生きる者」が、どれだけ強い意志でそれを貫き徹そうとしているか、容易に想像できる。な…

国立劇場 初代国立劇場さよなら公演六月歌舞伎鑑賞教室 『日本振袖始 一幕 八岐大蛇と素戔嗚尊』

30年以上前、歌舞伎を研修で観にいった家族は、いまでもいうのだ、「団十郎って、さすが市川宗家なんだよな、りっぱなもんだった」。それからしょっちゅう歌舞伎観てるかっていえばそんなことないけど、「りっぱだった」って絶対言う。「若い時に一回歌舞伎…

TOHOシネマズ日本橋 『TAR ター』

あのー、クレヨンみたいな油性の、太い芯の色鉛筆あるでしょ?芯の周りは紙で支えられてて、ミシン目のとこを糸で引っ張ってぐるぐるっと紙をはがし、芯を出すやつ。『TAR』を見て、私、あの色鉛筆を思い出した。 子供たちの声の中から――鳥の声の中から、知…