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池袋芸術劇場 『マイ・フェア・レディ』

○「やあ君は...。」ピッカリング大佐(田山涼成)が驚いて声をかけると、貧しいなりに精いっぱいお洒落したイライザ(霧矢大夢)は(来たよ)というすこしいたずらっぽい、ピッカリング大佐にだけ心を開いた顔をする。こことてもチャーミングでいい。最後…

新国立劇場中劇場 『キンキーブーツ』

ワンショルダーのラメの真っ赤なドレスが逆三角形をした躰に貼りつき、露わになった右肩の発達した上腕と胸筋が白く美しく、力を込めて手を動かすたびに筋肉のしなやかさに目を奪われる、という、一体私が見てるものって何。男でもなく女でもないもの、男で…

cube presents  『ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~』

告白する。『モンティ・パイソン』みたことない。断片しか知らない。何故ならビデオ屋で、いつ行っても、いつみてもずーっと借りられっぱなしだったから。あのころ、あのビデオを借りて借りて、何ならテープが伸びるほど見倒した人々が作った芝居のような気…

ヒューマントラストシネマ 『AMY』

名声が、病んでる子供をつかんで振り回す。肩を揺さぶる。つきまとう。 エイミー・ワインハウスは、1983年生まれ、ロンドン北部に育った音楽好きの女の子だった。ドキュメンタリーはまず、友達の14歳の誕生日に、軽い感じで、けれどとってもうまく、ハッピー…

シアタークリエ ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』

街のうなじ。 街にも人と同じように、自分では見ることができない「うなじ」があって、それはきっと、ジャージー・ボーイズが生まれたような土地、軍人かマフィアかスターになるしかない、忘れられた、半分何かを諦めたような場所だ。 それからもちろん、「…

新国立劇場小劇場 『 「かぐや姫伝説」より 月・こうこう、風・そうそう』

別役実著『言葉への戦術』による安部公房『友達』講読。いちんち8時間やった。楽しかったなあ。田舎の高校生、そんなに芝居見に行けないもん。 というようなことを思い出しながら、新国立劇場小劇場。舞台に竹。地についてる竹が30本程。中空にういている竹…

世田谷パブリックシアター PARCO PRODUCE 『BENT ベント』

手に汗握る。スリラーでも冒険活劇でもないのに、カーテンコールで拍手する私の掌は、湿って音が出ないのだった。 ナチスが政権を握ったベルリン、刑法で同性愛は反自然的なわいせつ行為とみなされ、同性愛者は強制収容所に送られるようになる。荒れた生活が…

子供のためのシェイクスピアカンパニー 『オセロー』

『オセロー』、かわいそうで読むの辛。 っていつも思うんだけど、観に来ちゃったなあ。席に着くと、遠く潮騒。大小5個の照明が客席の方を向いている。目がくらんで舞台がよく見えない。まるで嫉妬に取りつかれた人みたい。机がいくつか島のように寄せておい…

シアターコクーン 『ゴーゴーボーイズ ゴーゴーヘブン』

焼けて、きれいに炭化した能舞台。何もかもが矩形に区切られ、空には矩形でグレーの雲がかかる。 っていう風に見えるけど、違うのかも。とにかく舞台の前方を囲んで、能のように白い石が敷き詰められている。 この黒く焦げた舞台の上で、男と女、男と男の、…

テアトル新宿 『ふきげんな過去』

未来、過去、未来、過去、未来、過去。 ぐるぐるかき混ぜているうちに、過去の自分と未来の自分がごっちゃになる。たとえば18歳と45歳と、ついでに10歳の自分。何が起きるかなあ。まず、「こつこつやる」ってことの価値を巡る、激しい諍いだな。45歳はこつこ…

大駱駝艦・天賦典式 『パラダイス』

「今は暗黒舞踏とはいいません。舞踏です」 えっそうなの。って、そこからだ。生まれてこの方、舞踏を観たのは一回きり、今日観た若いダンサーが一人も生まれていないころ(断言)、15の夏休みのことだった。故郷の古い劇場に、暗黒舞踏が来たんだよね。 赤…

渋谷TOHO 『 TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』 

「鬼の立ち位置で死ぬとはいい度胸だ」 はっと正気付くとそこはなんだか赤黒い地獄で、地獄の鬼キラーK (長瀬智也)がいい感じにこんなセリフを今死んだ大助にいう。 修学旅行中に不慮の事故で死んでしまった大助(神木隆之介)。そんなに悪いこともしてい…

シス・カンパニー公演 『コペンハーゲン』

スリットを通って姿を見せる3人の人物。そこで3人は光子(こうし)のように干渉しあい、生きていて・死んでいる。 1人は量子力学の泰斗デンマーク人ニルス・ボーア(浅野和之)、もう1人はその弟子でドイツ人のハイゼンベルク(段田安則)、そしてボーアの妻…

劇団東京乾電池創立40周年記念本公演 『ただの自転車屋』

本多劇場。「笑ってる場合ですよ」の人気も一服し、客席はちょっと空いていた。どんな芝居だったか、もうすっかり覚えていないが、カーテンコールのことは忘れない。中央に立った柄本明が頭を下げながら客席を見る。あれは空席をにらんでいたのだろうか。殺…

パルコ劇場 『メルシー!おもてなし ~志の輔らくごMIX~』

中井貴一が、すきー。というわけで、私は昔の、軽さが全然なじまなかった頃の中井貴一のことを、よぉく知っている。上品で誠実、芯のある若い人。その上品なまま、ポップなCMに出たときには、胸を痛めたものだった。「これはきっと、修行だよ。」 今日の芝…

集英社インターナショナル ピーター・バラカン『ロックの英詞を読む――世界を変える歌』

英語を読んだり聴いたりした私ってさー、まるで 砂地に水がしみこんだあとの砂。 通過して、大半はどっかいっちゃう。はいはい。ざんねんさ。 そういう投げやりな気持ちでいたら、洋楽の歌詞を、ピーター・バラカンがまとめた本が出た。洋楽聴くから買いまし…

中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露 六月博多座大歌舞伎

『双蝶々曲輪日記 引窓』 「引窓」ってなんだ。『双蝶々曲輪日記』読んだけど、頭の中でそこんところがあいまいだった。どうしても、丸い、明かりとりの、「虫籠窓」を思い浮かべてしまうんだよね。「蝶々」のせいだ。 実際に舞台を見ると、瓦のない屋根に、…

新国立劇場中劇場 『あわれ彼女は娼婦』

ジョヴァンニ(浦井健治)とアナベラ(蒼井優)の兄妹は、禁忌をおかして愛し合う。子供ができてしまったアナベラは、それを隠して有力な貴族ソランゾ(伊礼彼方)のもとに嫁ぐ。 とてもセンセーショナルな題材だ。でも、なぜ妹と愛し合ってはいけないのです…

明後日プロデュースvol.1 『日の本一の大悪党』

友達が来る日の、家の片づけ。塩梅がわからない。どのくらい片付けたらいいのか。蛇口の金具の曇りを取り、棚の塵を払う。片づけているうちにスイッチが入っちゃって、戸棚の整理、マガジンラックの撤去までして、段々に日頃の自分の部屋と、かけ離れていく…

彩の国シェイクスピア・シリーズ第32弾 『尺には尺を』

のん気にパンフレット買って客席に入ると、舞台上に人、すでに何か始まっている。ああっ、損した気持ち、袖から大きなセットの背中がのぞき、赤いコーンが3つ置かれている。 「何かは始まっているけど、何かは始まっていない」不思議な景色だ。柔軟体操する…

丸の内ピカデリー 『海よりもまだ深く』

作家志望の良多(阿部寛)。15年前に新人賞を取ったが、そのあとが続かず、取材と称して、興信所にずっと勤めている。妻響子(真木よう子)は息子(真悟=吉澤太陽)を連れて去った。ギャンブルにふけったり、母の住む団地の家で金に換えられそうなものをこ…

新国立劇場小劇場 鄭義信三部作vol.3 『パーマ屋スミレ』

コレルリ、『ラ・フォリア』。シンプルで、かなしく、切ない主題が、さまざまに変奏されていく。バイオリンは静かに呟くように鳴り、かと思えばまた、何かを訴えるように強く叫んだりする。『焼肉ドラゴン』を観たあとで『パーマ屋スミレ』を観ると、互いが…

ロロvol.12  『あなたがいなかった頃の物語と、いなくなってからの物語』

通路沿いの私の膝をひょいとまたいで、さっと通り過ぎる男の人。こんなところにいたー。若者がー。と感心する。今日わたし若い人の芝居観に来ているのだと、思うのだった。 もういない母とまだ見ぬ娘の物語。その「もう」と「まだ」のつながりを、一本の赤い…

前進座 創立八十五周年記念 五月国立劇場公演 中村梅之助 追悼 『東海道四谷怪談』

おもしろーい。第一幕三場「浅草裏田圃の場」まで観終わってにっこりしているのである。『東海道四谷怪談』が好きな自分、そんな自分ってどうかと思うけど、なぜか何度も本を読んだ。 楊枝店で何かをこらえる風に肩をすぼめているお袖(忠村臣弥)、そのお袖…

ペルー大使館 『マルティン・チャンビ写真展』

会場に入った途端、なにか、かたまりみたいな白黒写真が目を搏つ。ぎざぎざしているところ、階段状にでこぼこしているところ、ごつごつしているところ、質感がごちゃまぜなもの。マチュピチュだ。インカ帝国の謎の都マチュピチュ、それならよく雑誌やテレビ…

シアターコクーン 『8月の家族たち August:Osage County』

開演前。薄暗い。堅牢に組み上げられた家のセット、二階建てだ。上手に書斎、中央にリビング、下手に食堂、その奥にキッチン。二階は上手が踊り場、下手は屋根裏のベッドルームだ。一階にはシャンデリアが下がっていて、クリスタルガラスの先に小さな緑の光…

ビルボードライブ東京 スクイーズ

I’D FORGOTTEN HOW MUCH I LIKE SQUEEZE と、大きく書かれたおしゃれな水色と黄色のロゴTシャツ。笑いました。1973年に結成されたスクイーズは、77年にレコードデビューしたイギリスのバンドだ。解散したり、再結成したりしながら今日まで続く。 ポップでキ…

東京宝塚劇場 雪組公演 『るろうに剣心』

花組、星組、月組、雪組、宙組があるらしい。戦前からあるらしい。小林一三翁がつくった。数限りなくスターをつくってきた。と、ぼやっとした認識で、芝居を観たらびっくりする。まず、踊りが揃っていることと歌の音程がしっかりしていることが初期設定なの…

東京芸術劇場 プレイハウス 『スウィーニー・トッド  フリート街の悪魔の理髪師』

「流しの下の骨ェ見ろ!」 こどもの時、こわかったよね、かちかち山。こわかったけど、心のどこかが少しすっとする。悪への希求?大人に抑圧された復讐心、悪を閉じ込めている真っ黒い小箱が、ちょっと開くのだと思う。 『スウィーニー・トッド』も、こわい…

劇団四季 『ウェストサイド物語』

ていねいなステップ。 ジェット団が(シャーク団が)舞台いっぱいにステップを刻むと、何だか涙が出てくるのである。ダイナミックなステップなんだけど、そのダイナミックさと同時に、この舞台の人々が、演目を大切にして、ながく培ってきた丹念さを感じる。…

KOKAMI@network vol.14 『イントレランスの祭』

本屋さんで雑誌を選ぶ、端っこがめくれたりしていないように、平積みの上から三番目。スーパーでトマトを選ぶ、大きいの、赤いの、新しいの。見ることの中に「選ぶ」があって、「選ぶ」の中に小さく、でも漏れなく「差別」が内蔵されている。 「6年前」、580…

新国立劇場小劇場 鄭義信三部作vol.2 『たとえば野に咲く花のように』

コロスの恋。選ばれなかったものの恋。 珠代 男はくさ、やりたかときは、みーんなやさしか。 空気を静かにかき混ぜる団扇の風みたいに、珠代姐さん(池谷のぶえ)がいう。 朝鮮戦争が始まって一年、1951年夏、F県H港そばの「エンパイアダンスホール」、男…

シス・カンパニー公演 『アルカディア』

理科の法則。厳密でシャープで、明確なものを前にして、まことにごめんなんだけど、芝居の間中、出典の明らかでない、あやふやで、完全にうろ覚えの、英詩のことを思い出していた。 それは確か、庭のことをうたったものだったはず。日時計の影がゆっくり回り…

てがみ座 『対岸の永遠』

酔い潰れながら目を上げると、そこにはいつも父(半海一晃)が、なぜか父がいて、窓から入ってきたり、椅子の上に立っていたり、くすくす笑っていたりする。父は妖精のよう、世界を漂流する亡霊のよう。 1999年、ソビエト連邦が崩壊して10年近く、翻訳者のエ…

世田谷パブリックシアター 『イニシュマン島のビリー』

「今年私の見る島の生活は一層暗黒である。太陽は滅多に照らず。来る日も来る日も、冷い西南の風は霰交りの時雨や厚い雲の群を伴って、斷崖を越えて吹き荒ぶ。」(『アラン島』シング 1907 姉崎正見訳 岩波文庫) そんなとこでの1934年、隣の島にハリウッド…

M&Oplays produce 『家庭内失踪』

いるけどいない。野村(風間杜夫)の妻雪子(小泉今日子)のうっすらした非現実感、不在感。夫と話しているときも、義理の娘かすみ(小野ゆり子)と思い出話をするときも、何だか少し、中空にういているみたい。その非現実感は、パソコンに話しかけるところ…

新国立劇場小劇場 鄭義信三部作vol.1 『焼肉ドラゴン』

『焼肉ドラゴン』、一度目はテレビ、再演は観に行って、今日は三度目。在日韓国人の人々が、違法に住んでいる関西の町。そのバラックの立ち並ぶ一角に、「ホルモン」の看板を掲げたドラゴンはある。高度成長期の日本を背景に、店を営む一家の哀歓を描く。 家…

シアターコクーン 『エターナルチカマツ ETERNAL CHIKAMATSU』

プロジェクターで映し出された白柿黒色の中村座の定式(じょうしき)幕。客席の人の頭が遮ると、影になって消えてしまう。幻の幕。幻の芝居。 幕が開くとリーマンショックを語る映像、いろんな人が大きな損失を出す。鮮やかな映像はすっと消えて、そこは歓楽…

ブルーノート東京 リアノン・ギデンズ

食後のコーヒーを飲んでいたら、目の前に風が起こって、すてきなブルーのワンピースが通り過ぎる。リアノン・ギデンズ。はじまる!追いつけない。ちょっと待って。舞台ではもう、リアノンがバンジョーを抱え、親指で弦を弾(はじ)いてる。走った後の搏動の…

遊園地再生事業団+こまばアゴラ劇場 ワークインプログレス『子どもたちは未来のように笑う』

ワークインプログレス。なんだろ。9月の本公演に向けて、作業の過程を見せる公演。本公演は、「妊娠」や「いま、子どもを産むということ。」についての芝居のようだ。揃いの白い運動靴をはいた俳優たちが、丸い輪の形に置かれた本を読む。 石川達三。妊すぐ…

2016年劇団☆新感線春興行 いのうえ歌舞伎《黒》BLACK 『乱鶯』

押して引いて、押して引いて、さし引きする潮みたいに、寄せては返す波みたいに、芝居は生き物だ。 古田新太は引く芝居が上手。昔、NHKの大河で商人やった時は、じれったくなるほど引いていた。引く芝居ができるから、ばーんと押す芝居がいいのだ。膂力を感…

赤坂ACTシアター 『ライ王のテラス』

気づくと舞台に次々に人が現れ、鍛えた上腕二頭筋をちょっと見せて、笑いを取ったりしながら位置につく。 筋肉に興味のあったためしなし、だからミシマがよくわからないのかも。舞台の壁が9分割され、うっすらとひしめき合う人々が浮き彫りになっているのを…

さいたまネクスト・シアター×さいたまゴールド・シアター 『リチャード二世』

再演。2回も感想文書けるのか。という一抹の不安はあったけど、観に来ちゃいました。この芝居が好き。まるで舞台の奥から生きてる波が押し寄せてきて、その飛沫が胸の中に飛び込むみたい。たった今ここにいると感じる。この、息をしているたったいま。 長い…

おちないリンゴ#14 『憂いある永久機関』

自分のことを、お父さんが浮気してできた子供だとずーっと思っていたら、実はお母さんの浮気の子でした。という昔の小説を読んで、爆笑していた若い日。不倫はそんなにも、自分から遠かった。浮気するならそれはお父さんだと、決めつけてもいた。 時は移って…

博多座 『坂東玉三郎特別舞踊公演』

「杵勝三伝の内 船辨慶」 一閃。ぴかりと光る稲妻のような鋭い笛の音。鼓の音、おおかわ(大鼓)の音。どの音も、その楽器の音域の、いちばん響く、いちばんいい音だ。地声って感じなのかなあ。鼓のことなんて、今までの人生で、いっぺんも考えたことなかっ…

シアタートラム 『同じ夢』

痩せた木の立つ中庭から、台所のくもりガラスに陽がさし、歯ブラシやハイターや瓶を照らす。光の調子が強くて、日常の煤けた道具が皆、映画の主人公のように見える。斜めの陽は、古いコンロの上の鍋を銀の明るい輝きと、はっきりした暗い翳で塗り分ける。こ…

野田地図 第20回公演 『逆鱗』①

昼下がりのカフェテラス、ミルクティーを注文。カップに浸した三角のティーバッグを、ぴょんぴょんと小刻みに上下動させていたら、そのぴんと張った糸の先にあるのは、何だか「潜水鵜」の誰かのような気がしてきて、 おーい もう、だめ!飲めない! こんな感…

野田地図 第20回公演 『逆鱗』②

大音量のセックス・ピストルズ、世代的に中学でパンクを浴びてる私はもうテンションが上がる。舞台は暗く、墨染の衣のような黒、上方はうっすら赤い。パンフレットのさかなクンによれば、海を数十メートル潜ると、暗闇はいつの間にかすこしあかくみえてくる…

二兎社公演40 『書く女』

「半井うしがもとを出しは四時頃成けん、白皚々たる雪中、りんりんたる寒気ををかして帰る、」あるいは、「りんりんたる寒さをおかし、白く輝く道を帰る。」 一番幸せだった日。何度も何度も思い返す半日。それはこの雪の日だ。一葉(黒木華)とその小説の師…

新橋演舞場 『初春花形歌舞伎』

『車引』 ――なんていってるのかわからない。 幕が開くと同時に、ちょっと悲痛な気持ちになるのである。音曲が、頻りに何か言っているのに。キノコの精みたいな大きな笠をかぶった二人の人物が、花道を通って舞台に現れる。どちらも紫の格子の着物、体が大き…