日生劇場 『ラ・カージュ・オ・フォール』

昔々、あるところにゲイカップルがいた。片方は働き、片方は主婦になった。最初は対等だったけど、主婦になったほうは段々に「女扱い」され、目下にみられ、軽んじられていく。「女の人は、この扱いを、どうやって耐えているのでしょうか。」って話を思い出…

中洲大洋映画劇場 『北の桜守』

阿部寛。妻てつ(吉永小百合)と子供たち(あんなに頑張っていたのに名前がわからないなんてごめん)と別れるシーンが飛びぬけてよかった。流れ者時代のクリント・イーストウッドみたいだった。撮影の空気を咀嚼し、場を自分のものにしていたと思う。しかし…

椿組2018年春公演 『毒おんな』

(あのひとだあのひとだあのひとだ) 美しい秋野楓(小泉今日子)、薄く黄味がかったアイボリーホワイトの手が、濃い水色のワンピースからのぞき、肩までの髪は揺れ、白い顔が真剣に男たちの方に振り向けられる。しかし、そのはいている靴は、エナメルのウェ…

ビルボードライブ東京 小坂忠「HORO 2018」Special Live

ビルボード東京、カジュアル席。六層になった客席のうち下から四層目。上手(舞台向かって右ね)からステージを真横にみるかたち。舞台の上に青い明りがあたって、客席ときっちり分かれている。客席には段々にお客さんが入り、飲み物を飲んだりご飯を食べた…

蜷川幸雄三回忌追悼公演 埼玉公演 『ムサシ』

あのー、あの、蜷川さん怒るかなあ、まえ(2013)観た時より面白かった。蜷川さんの『ムサシ』は、最上等の布地に、考え抜かれた型紙を置いて、布は無駄が出ないように厳しくカットされ、ダーツ一本にも思想がある感じだったけど、今日の『ムサシ』は、仕立…

こまつ座&世田谷パブリックシアター 『上海ムーン』

読めないなー。開演前、舞台スクリーンいっぱいに映し出された筆跡。じーっとみてるとまず「御頼ミ申シマス」がわかる。それから「喘息」。「早速ミテ下サル様ニト」と、そこまで分かったところで、御頼ミ申シマスの「マ」が乱れて太くなっている、と思う。…

めぐろパーシモンホール 大ホール 『柳家小三治一門会』

迷い込んだことはあったけど、来たことはなかった「めぐろパーシモンホール 大ホール」、『柳家小三治一門会』です。 2月の終りの寒い夜、高齢者が多くて、服装とぜんぜん合わない帽子をかぶっている人を再々見かける。パーシモンホールの吹き抜けの「プラザ…

渋谷TOHO 『――空海―― KU-KAI 美しき王妃の謎』

陳凱歌が、精密になってる!と震撼するのであった。とても高度な映画。例えて言うなら、一つ一つの関係が地図のように厳密に写し取られ、「美しき王妃の謎」を構成する分図、たがいの透視図となって、伝奇ロマンを大きく、きらびやかに展開させる。 日本から…

渋谷TOHO  『リバーズ・エッジ』

「原作に、勝ってないけど負けてない」川柳か。 1993年、世界はもう、ざらざら、べとべとしたものを排除しつくして、つるつる、ぴかぴかしていた。景気のいい時代はそぉっと終わろうとしており、そもそも、「世界」ってものが、全く実感できなかった。どこを…

博多座 『二月花形歌舞伎』    (2018)

為政者は逃げたり自殺したり、若い信奉者は狂奔し、こどもはころされる。そういうもんかも、負け戦とか、滅亡って。と、戦争映画を見て思った次の日の『義経千本桜』。これ、滅ぶってことが、凝縮されてるなあ。 兄頼朝と仲の悪くなった義経(中村七之助)が…

スズナリ 唐組×東京乾電池コラボ公演 『嗤うカナブン』

フィルムノワール?まず、そこからだ。フランス映画じゃなくて、第二次大戦頃のアメリカの犯罪映画。『飾り窓の女』とか。それなら観た。犯罪者になってしまった大学教授が追いつめられていく映画で、いよいよ窮地に立った時、いやになって鞄からキャラメル…

渋谷TOHO 『マンハント』

控えめに言って、ジョン・ウーの『ミッション・インポッシブル2』はとても好きな映画だった。かっこいいとか美しいとか鳩が飛ぶとか、人はいろいろ言うだろうが、わたしにとってあれは「話の早い映画」だ。スピンする車のスローモーションのなかで、男と女の…

東京芸術劇場 プレイハウス 『密やかな結晶』

石原さとみに点が辛い。 なぜって石原さとみのパントマイム修業をテレビで(2012、NHK)観てるから。あの時見た舞台上での心のしなやかさ、演技のみずみずしさは、忘れられない。 今日はその石原さとみ主演の『密やかな結晶』、原作は小川洋子の小説だ。本を…

日比谷コンベンションホール 『デイヴィッドとギリアン 響きあう二人』

熊蜂の飛行、リムスキー・コルサコフ。朱赤のつるつるしたルパシカを着た老人が、背を丸めてピアノの上に屈みこんでいる。二呼吸くらいすると必ず客席の方に顔を向け、歌い、独り言を言い、凄い勢いで指を動かして、ぶんぶん飛び回って一時も休まない熊蜂を…

渋谷TOHO 『嘘を愛する女』

その朝日新聞の記事を私も読んだ。不思議な話さ。5年連れ添った医師の夫が死んでみると、その夫の名前は嘘だった。医師でもなかったし戸籍もなかった。私の夫は誰だったのでしょうか。折に触れ私も考える。新聞に載っていた誰でもないあの人は、誰だったんだ…

ユーロスペース 『花筐』

映画、すきかなあと思う。映画すきかなあ?シアターコクーンから3分くらいの所にユーロスペースあるのに全く行かず、知らずに血まみれ映画見ちゃって激怒する私は。好きなの? そういう大きい疑問符を頭の上に載せたまま、『花筐』を観に行く。 『花筐』は壇…

ブルーノート東京 ジョン・ピザレリ

セカンドショウを終えたジョン・ピザレリが、小さな丸テーブルの前に腰かけ、軽くお酒を飲んでファンにサインをしている。 ナット・キング・コールで聴いた曲、チェット・ベイカーで聴いた曲、勿論シナトラ、勿論ジョビン、今聴いたいろんな曲が、酵母みたい…

武蔵野市民文化会館 大ホール 『ブルガリアン・ヴォイス アンジェリテ』

不揃いな雪。堅雪、牡丹雪、どんな雪だってよく見ると形は不揃いだ。綿毛のような雪は身をゆすって回転しながら落ち、大きな雪は直線的にゆっくりと地面を目指す。細かい雪は風に流されて横ざまに下へ、下へと落ちてゆく。一つとして同じ雪片はないけれど、…

シアターコクーン・オンレパートリー2018 『プルートゥ PLUTO』

ホース、操作盤、コード。今日は最前列、緊張しちゃうなあ。車輪、基盤、スイッチ、扇風機のガード。舞台前面にしつらえられたがらくたの、さまざまを眺めわたす。トルソー、えっ、マネキンの足の先。思わず席から立ち上がってしまう。下手の端の瓦礫から、…

DDD青山クロスシアター 『ぼくの友達』

ふわっとした長めの髪にサングラス、黒いスーツに白いネクタイの青年トニー(辰巳雄大)。彼の正体はわからない。ただ感じよく笑いながら、邸宅の主イタリアン・マフィアのフランキー(田中健)に、「あなたの友達パーシー・ダンジェリーノ」の友達だといい…

シス・カンパニー公演 『近松心中物語』

気鬱。でてくると傘屋与兵衛(池田成志)は、おとりまきの弥七(陣内将)にそんなことを言われる。 舞台では亀屋忠兵衛(堤真一)と梅川(宮沢りえ)、与兵衛と女房お亀(小池栄子)の心中が二重に語られる。梅川忠兵衛が美しく散っていくのに対し、お亀と与…

日生劇場 『黒蜥蜴』

「フローティングワールド」 と、思いながらゆっくり目を閉じる。「時間の冷たい急流」を、上手から下手に流れてゆくビルの窓、舞台奥からせり上がってくるエレベーターの骨組みの映像を見ていたら、目眩が来ちゃったのだ。 たぶん、黒蜥蜴の棲む世界は、風…

全労済ホール/スペース・ゼロ提携公演 『四谷怪談』

三時間半の大作。四谷怪談のお岩を巡る男たちの嫉妬や、四谷怪談が一種の家庭内殺人であることから、現代の事件、俗に北九州連続殺人事件と呼ばれる家族の崩壊というか、壊滅事件を詳細に語り、二つを交叉させようとする。 舞台の頭上にはニワトリなどの飼育…

彩の国シェイクスピア・シリーズ 第33弾 『アテネのタイモン』

「俺をほめたじゃないか!」 財産を失い失意の底にいるタイモン(吉田鋼太郎)が、軍を率いるアルシバイアディーズ(柿澤勇人)の胸ぐらをとって叫ぶ。金があり、友人たちに恐ろしく気前よく振る舞っていたころの自分に対する言葉を、タイモンは責めるのだ。…

Bunkamuraシアターコクーン DISCOVER WORLD THEATRE vol.3 『欲望という名の電車』

大竹しのぶがもうすでにこの芝居で紀伊國屋演劇賞を受賞している。えええ?見物しようと靴ひも結んで顔をあげたら、ゴールしている人が見えたような気持ちー。でもそれも仕方ないのだった。圧倒的な集中力、圧倒的な演技で、大竹しのぶは芝居を引っ張ってい…

世田谷パブリックシアター 日韓文化交流企画 『ペール・ギュント』

ストップモーションが美しい。天鵞絨の赤い緞帳が開くと、そこは荒涼とした河川敷のような景色、上手と下手を堤防や橋梁によくある巨大なコンクリートの壁が遮っている(グエムルを思い出した)。奥からスローモーションで群衆が出てくるが、そのスローは日…

M&Oplaysプロデュース 『流山ブルーバード』

流山で近藤勇が、とか得々と言い出す人間は、永遠にこのコミュニティには入れない。地元、地元の人間、地元のスナック、地元の魚屋、地元の友達、地元の不倫、地元の連続殺人。 兄国男(皆川猿時)の鮮魚店で働く高橋満(賀来賢人)の体には、「地元の」と書…

劇団民藝 『「仕事クラブ」の女優たち』

「最後吐いてました、原稿書くのに」(パンフレット、長田育恵) そうだろうなー。ただでさえ演劇ってその場で消えてしまうもので、それに消し去りたいとか貧しいとか弾圧とかの条件が加わると、どれほど時代と資料に穴が開くか、想像に難くない。たいへんだ…

すみだトリフォニ―ホール 『55th Anniversary The Chieftains チーフタンズ来日公演2017』

THE CHIFTAINS 55TH ANNIVERSARY。その題字に続いて、チーフタンズ結成の1962年から、今日までの歴史が、スライドの写真で紹介される。古い写真の中で、笑っているパディ・モローニ、アメリカ初公演、ロイヤルアルバートホール完売(1975)、映画『バリー・…

赤坂ACTシアター 笑福亭鶴瓶落語会     (2017)

ぱっとあらわれて、さっと演じ、すっと帰る。鶴瓶って、じつはそこんとこをとても大切にしているような気がする。「粋な」(関西発音でお願いします)感じ、って言語化する私は野暮の極みですけどね。 劇場では、景気のよいお囃子が演奏されている。途中で、…